田山旺佑騎手 デビュー2年目の飛躍 昨年16勝大幅上回る現在34勝…好調の要因に迫る

2026年8月5日 05:30

笑顔でポーズを決める田山(撮影・中辻 颯太)

 夏競馬の水曜企画は「夏色思い」。記者が夏に関するテーマを考え、深掘りする。大阪本社・入矢美奈(32)が担当する第6回の自由研究はデビュー2年目の田山旺佑(20)に迫る。今年JRA34勝と大きく勝ち星を伸ばし、前開催の小倉ではリーディング2位の9勝と今、勢いに乗っている若手ジョッキー。ルーキーイヤーからの心境の変化、幼少時に打ち込んだ空手について熱い思いを語った。

 ――2年目の今年は昨年16勝を大幅に上回る34勝。要因を挙げるとすれば。
 「今年デビューする後輩がいないことが早くから分かっていたので、自分でトライできる期間が増えたっていうプラスの考えが大きいです。試しながら失敗することも多かったですし、その中で学ぶものは多くありました。負けて悔しいっていうのはあるんですけど、次どうやったら勝てるのか考えないといけないので。ありがたいことに騎乗依頼も頂き、トライする回数が増えて引き出しが増えました。それがいい方向に向いています」

 ――先月5日の北九州記念は9番人気ジェニファーで2着。自身8度目の重賞騎乗で初の馬券圏内だった。
 「返し馬で乗った時に馬のサイズ感が(以前、乗った時より)一つ大きくなっていました。精神的にも、背中の感じも一段としっかりしたなという印象でした。前走、松山さんが乗られて勝ったレースをお手本にし、そのイメージ通り乗れました。ちょっと左に張られたりしたので、もっと真っすぐ走らせられていれば際どかったなと思います」

 ――改めて騎手を目指したきっかけは?
 「競馬関係の家庭ではなかったけど父が競馬好きではあったんです。小学5年生の頃に阪神競馬場で競馬を見て、騎手ってかっこいいなって思いました。そこから乗馬を始めました」

 ――それまで打ち込んでいたのは?
 「4歳から中2まで空手をしていました。父も祖父も空手をしていたので毎日、練習をしていました。小学3年生の時は全国5位、父も全国で団体1位だったので真剣に取り組んでいました」

 ――空手一家で育つも騎手を目指すとなった時に家族の反応は?
 「父は凄く背中を押してくれました。兄は身長1メートル80、妹も1メートル70近くあり、自分は体形に恵まれたなと思います。習い事は10年続けなさいと言われていて、何かに打ち込む能力は身に付きました。父には“一喜一憂するな”と言われていて今もその言葉を鮮明に覚えています」

 ――騎手として、やりがいを感じる時。
 「勝った時に携わった関係者の方が笑顔になってくれる瞬間ですね。自分が勝った瞬間もうれしいんですけど、引き揚げてきた時に特別感はありますね」

 ――騎手としての理想像。
 「松山さんのような応援したいと思ってもらえる人間になりたいです。時間は必要かもしれないですけど、人間力を構築できたらいいなと。小さな積み重ねが大きなものになる時があると思うので、瞬間瞬間を大切にしたいです」

 ――夏競馬の残りの期間を含めて今後の目標を。
 「今週、新潟の重賞(レパードS=ショウナンバンライ)に乗りに行くので、そこで大きいタイトルを獲りたい。あとはやっぱり自厩舎で重賞を勝ちたい思いがあります。お世話になっている先生にも恩返しがしたいですね」

 【新谷師に聞く】田山の師匠・新谷功一師(49)の視点から弟子の成長ぶり、人となりを語ってもらった。

 ――成長を感じる点は?
 「(1)競馬を読む力、(2)馬に対する感性の向上、(3)運を生かす、勝つための準備力ですね」

 ――普段からどんなアドバイスをしているか。
 「付き合う人間で人生が変わること、自分でやりたいことを発言させること、マネジメント的な話をしています」

 ――田山の性格は?
 「サバサバしてるふうに見えて思いやりがあります。気持ちのコントロールが年齢の割に大人かも(笑い)。そして自分を大事にしていますね」

 ――最初の印象は?
 「そこらにいる少年かな。いろいろと話は周りから聞いてたけど田山旺佑という人間と向き合うことしか考えていなかったからドラマ的な印象はないかな」

 ――将来どんな騎手になってもらいたいか。
 「もちろん、海外を含めて世界から依頼をもらえる騎手になってほしい。それと同時に人馬と向き合える騎手でありながら馬産業という狭い社会だけの人間にはなってほしくないですね」

 ――田山のセールスポイント。
 「勝つことにこだわりを持っていることです」

 ≪取材後記≫先月20日に20歳になったばかりで、屈託のない笑顔には初々しさが残る。一方で取材には一つ一つの質問に丁寧に向き合い、落ち着いた口調で答える姿が頼もしい。どれか一つ…は難しいかもしれないが印象に残っているレースを挙げてもらった。

 「白毛のカルパでの勝利です。その時は凄くお客さんも喜んでくださって、愛されている馬だなと。普段は聞こえないけど抜け出した時に凄い歓声が聞こえました」

 6月28日の小倉10R、直線で力強く脚を伸ばし1馬身差V。今春、疾病により天国に旅立った妹マルガにささげる勝利にもなった。カルパは自厩舎ではなく須貝厩舎の管理馬。昨年と比べると自厩舎以外から騎乗を依頼される機会が増えた。人によって態度を変えないことを心がけ、空手をしていた頃に学んだ礼儀を重んじる姿勢で競馬に打ち込んでいる。10年、20年後も、多くのファンやトレセンの皆さんに愛されるジョッキーになってもらいたい。(入矢 美奈)

 ◇田山 旺佑(たやま・おうすけ)2006年(平18)7月20日生まれ、兵庫県出身の20歳。25年3月に栗東・新谷厩舎所属でデビュー。同9日の阪神1R(ツキノアカリ)で初勝利。ルーキーイヤーはJRA16勝を挙げ、中央競馬関西放送記者クラブ賞(関西所属騎手新人賞)を受賞。JRA通算814戦50勝。1メートル62.5、47.8キロ。血液型O。

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