【シンザン記念・浜田】能力発揮しやすい左回りで

2022年1月9日 08:00

 昭和の名馬シンザンの名を冠したクラシックの登竜門。その名に恥じず、数々の名馬が駆け抜けた舞台に、今年も大物が駒を進めてきた。その名はラスール。フランス語で「唯一無二」と名付けられた牝馬の初陣は圧巻だった。好位のインで折り合いは文句なし。直線は外から寄られ窮屈になるシーンもあったが、ひるまず前へ。進路が空くと、あとは独り舞台。手応えに余裕を残しながら後続を軽く3馬身半突き放した。
 引き揚げてきたルメールは「新しいグランアレグリアですね」と絶賛した。昨秋にマイルCS連覇で有終を飾ったG16勝馬を引き合いに出すほどの手応え。双方を管理する藤沢和師も「久しぶりにクリストフが褒めてくれたから、うれしかったよ」とご満悦だ。タイムは平凡だったが、これは流れが遅かっただけ。評価すべきはスローペースでもコントロールが利いた運び。3、4着馬が次走で勝ち上がりと対戦レベルも決して低くはない。
 牝馬はあす月曜に中山のフェアリーSという選択肢もある。ただ、舞台は中央全10場で最もトリッキーな中山マイル。展開次第では、指揮官が「絶対値が違う」と評するラスールのスピードを殺しかねない。中京は初戦の東京と同じ左回り。中山と比べればコーナーも大きく直線も長い。紛れが少なく、能力を発揮しやすい舞台を選んだのは明白。もちろん、牡馬相手でも通用するという自信があっての参戦だ。
 マンハッタンカフェ産駒の半兄シャケトラは19年阪神大賞典などG23勝。父からスタミナを受け継ぎ、芝の長丁場で活躍した。母サマーハの産駒は種牡馬の長所を色濃く生かす特長がある。ラスールの父は新種牡馬キタサンブラック。1800~3200メートルまでこなしたオールラウンダーとの配合。将来的な可能性は無限に広がる。かつてジェンティルドンナ、アーモンドアイと2頭の3冠牝馬がステップにした登竜門。再び3冠の礎となるか。そんな期待を抱かせる一戦となるはずだ。 (浜田 公人)

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