【天皇賞・春】クリンチャー軽め仕上げ!皇成期待「いい背中」
2018年4月26日 05:30 雨にかすむ栗東坂路を力強く駆け上がったクリンチャー。その背には新コンビを組む三浦の姿があった。武豊の騎乗停止で、突然舞い込んだオファー。初めてまたがった背中から、確かなポテンシャルを感じ取った。「坂路に向かう常歩(なみあし)から乗せてもらったが、扱いやすい馬だと思った。さすがはG1を獲りにいこうという馬。いい背中をしている。時計(4F54秒9)は無理をしなかったが、追えば楽に時計が出る感じ。馬がどういう時にどんな反応をするかも確認できた」
宮本師が「流すような感じ」と表現した軽めの最終調整は、前走(阪神大賞典3着)の反省から。「京都記念でG1馬4頭に勝ったことで舞い上がり、“次もいける”と馬に負荷をかけ過ぎた」と、これまでになくハードに攻めた。結果、反応が良くなり過ぎてしまい、レース序盤で折り合いを欠いてリズムを崩した。この中間は攻めを手控え、折り合い重視の調整に終始。「前回は中距離仕様になってしまったので、今回は菊花賞の前と同じ調整で長距離を意識した。今年の1月4日に帰厩して、ずっと厩舎で調整しながらの3戦目。もう強い調教は必要ない」。3200メートルの大一番へ、思惑通りの仕上げを施した。
昨年は不正駈歩(かけあし)に悩まされた。前肢と後肢の手前(軸脚)が異なり、フォームがバラバラになる状態。成長途上の後肢に力が入らないことが要因だったが、馬体がたくましさを増すにつれて自然と解消した。「弱くて、反応が鈍くて、調教でも動かなかった以前とは別馬になった。前走で掛かったのもパワーが付いた証拠」。短期間に見違えるほどの成長を遂げた愛馬に、宮本師は驚きを隠さない。
凱旋門賞の1次登録も済ませたが、まずはG1タイトルを獲ることが先決。「毎回違った走りで、想像以上にいい仕事をしてくれる馬。100%、胸を張って出せる状態。勝って喜びたいですね」。英語で「決定打」の意味を持つクリンチャー。伝統の一戦で、こん身の“フルスイング”を期待する。