“香港の歓喜”をもう一度 福永&藤原和男調教助手の挑戦
2018年6月8日 05:30 【競馬人生劇場・平松さとし】01年から03年にかけてエイシンプレストンが香港へ5度遠征し、3回も優勝した。当時、北橋修二厩舎に所属し、毎度この遠征に立ち会っていたのが藤原和男調教助手だ。彼は調教師・藤原英昭師の実弟。1968年2月、学年でいうと兄より2つ下で生まれ育った。父が元けい駕(が)競走の騎手だったこともあり、兄弟は幼い頃から馬に親しみ、乗馬も始めた。
インターハイでの優勝や国体出場など輝かしい経歴を持って兄に続きJRA入り。北橋調教師が定年により厩舎を解散した後、藤原英昭厩舎へ移った。すると、その兄も毎年のように香港競馬に挑戦した。アルキメデス、トーセンバジル、ストレイトガールなどを“100万ドルの夜景”に彩られる地へ送り込んだのだ。
14年にはフィエロで香港マイルに挑戦した。手綱を取ったのは福永祐一。エイシンプレストンの全てのレースに騎乗し、後にダービージョッキーとなる男だ。翌15年はクイーンエリザベス2世Cにステファノスを送り込んだ。この日は日本でフィエロがマイラーズCに出ていたが、藤原はステファノスの方の鞍上に福永を指名。そして、言った。
「俺は部外者だけど、君らは皆、仲間やろ?!」
私も混ぜていただいた“君ら”とは、弟の藤原和男と騎手の福永祐一らのこと。師は続けて言った。
「プレストンの時のような感激をまた味わってもらいたい」
残念ながらその願いはまだかなっていないが、福永を香港へ連れていった理由の一つははっきりと分かった。彼らがタッグを組むグリュイエールが今週末のエプソムCに出走する。同じチームでゆくゆくは香港遠征があるだろうか。そしてエイシンプレストンの再現をしてくれるだろうか。それを占う意味でも注目したい。(文中敬称略)