【有馬記念】武また!神の手でオジュウ1番枠 舞台は整った

2018年12月21日 05:30

引き当てた枠順に驚きの表情を見せるオジュウチョウサンの武豊(右)と和田正師(撮影・村上 大輔)

 自らを「引きが強い方」と評した武自身も、さすがに声にならない声で「おぉ」と口を丸く開けた。7個のカプセルが残るボウルの中から迷うことなくつかみ取ったテープには、(1)番の数字。会場の500人のファンからどよめきと感嘆の声が漏れ、見守った長山尚義オーナーは両手を高々と上げて笑顔で拍手を送った。

 昨年の抽選会で、馬番テープに自ら祝福のキスをするという“神演出”を披露した武豊。競馬界の顔は、今年も半端なかった。10番目に抽選順が回ってきたオジュウチョウサン。「大舞台に強い武ジョッキーにお任せです」と和田正師に全権委任され、見事なまでに期待に応えた。

 「これがいいのか悪いのか分からないが、大外は嫌だなと思っていた。狙うならば極端な枠の方がいいので、いい枠だと思う。レースはスタート次第でどうなるか分からないが、タイムは少しは掛かってほしい。あまり速いのはどうか。馬場は福島で結構のめっていたからそんなに渋らない方がいいかな」

 抽選会の熱気とは一転、名手はすぐに本番に向けて考えを巡らせた。「昨年キタサンブラックで(抽選会に)来て、1年後にオジュウチョウサンで来るとは夢にも思っていなかった。思い切って乗りたい。楽しみたいね。(10週連続で外国人騎手がG1制覇中の)流れを自分が断ち切りたい」と腕をぶす。

 「願ってもない枠。豊さんのヒキだね。キセキが外だから何を目標にするか、逃げちゃうかもね。とにかくレースは任せるが、これは何かある」。名手の強運にう〜んとうなった長山尚義オーナー。「まさか昨年のキタサンブラックと一緒の枠を引くとは、絵に描いたよう…」。和田正師も夢心地でつぶやいた。

 ドラマチックな展開に、目撃者全てが目を丸くした4096分の1の奇跡の瞬間。オジュウチョウサンの“二刀流”物語が鮮やかに平成最後の有馬記念を彩るか。実力で夢の扉をこじ開けた最強ジャンパーは、最強の運も味方につけた。

 ▽枠番抽選方式 ゲストを務めた「2018JRA年間プロモーションキャラクター」の松坂桃李、土屋太鳳が抽選ポットから馬名ボールを選び、馬番を選択する騎手(調教師)を決める。選択された騎手(調教師)が登壇、抽選ポットから馬番ボールを選択して自らボールを開封し、枠順決定となる。一昨年は最終追いが集中する水曜に行われたが、昨年に続き今年も天皇賞・秋、ジャパンC(以上はコンピューターによる自動抽選)などと同じ木曜に実施した。 

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