菜七子 キッキングと初G1決定!2・17「フェブラリーS」で

2019年1月28日 05:30

直線を強く抜け出し根岸Sを制したコパノキッキング(左)(撮影・西川祐介)

 中京競馬場での最終レース後に、“騎乗依頼”を伝え聞いた菜七子は「レースに乗っていて根岸Sは見ていませんし、まだ直接聞いていないのでコメントはできません」。戸惑うのも慎重になるのも無理はない。騎手を目指すと決めた時からの夢がついに実現するのだ。

 その直前の東京競馬場。根岸Sを制した6枠11番コパノキッキングの緑帽と同じグリーンのマフラーを巻いた小林氏が「次はフェブラリーS。俺がワガママを言って、(陣営に鞍上は)“菜七子でいく”と言ってある」と話し、「きっと盛り上がると思う。ここで断言します!!」と勢いよく続けた。前日に長男・照弘氏と熱田神宮(愛知県名古屋市)で願掛けした中で、愛馬が重賞連覇と4連勝。菜七子に先約があった前走・カペラSでのオファーは実らなかったが、19年最初のG1レースで満を持してコンビ結成となる。

 「一人しかいない女性騎手なんだから、みんなで応援していかなくちゃいけない。ナナちゃん(菜七子)に重賞を勝ってほしいと思う。それは多くの競馬ファンの夢でもあるから」。騎乗依頼を本人と直接メールで行うなど蜜月関係を築いてきた小林氏は常々そう語ってきた。さらに、昨年9月にはスポニチ本紙の取材に「キッキングが重賞(G1)に行くまでは取りこぼしができないから、お膳立ては先輩騎手に頼んで…」とも語っていた。

 その中で菜七子は「いつも私のことを気にかけてくださり、本当にありがたい。頑張らなくちゃと思うし、結果で応えたい」と、同氏の所有馬で最多の5勝を挙げてきた。そしてこの日、G1騎乗という最高のプレゼントを贈られた。これまで「甘くはないと思っているけど、(G1は)騎手になりたいと思った頃からの憧れの舞台。やるからにはいつか乗りたいし、勝ちたい」と語ってきた菜七子。恋い焦がれたステージは、20日後の2月17日に用意された。

 キッキングの能力を考えれば、菜七子のG1初騎乗初勝利も決して夢物語ではない。小林氏が「マーフィーがドバイに来れば勝てると言ってくれた」と話すように、ドバイG1「ゴールデンシャヒーン」(3月30日、メイダン)の予備登録を済ませている。さらには、米国G1「ブリーダーズCスプリント」(11月2日、サンタアニタ)への挑戦の可能性も視野に入れている逸材だ。フェブラリーSでも上位人気が予想されるキッキング。「素直に乗れば全力で走る馬だから菜七子に合うと思う。みんな応援してあげて」と同氏。JRA通算48勝のうち33勝をダート戦で挙げている菜七子なら、大仕事をやってのけても不思議はない。

 ▼村山師(コパノキッキングを管理)菜七子起用のプランは前々からあった。これから(レース当日まで)話題になっていくでしょうね。今日も初コース、初の左回りと不安はあったけど克服してくれた。(フェブラリーSでは)1F延長になるけど、うまく調整していきたい。

 ≪熊沢は東京初騎乗で快挙≫G1初騎乗勝利を達成したのは過去2人。熊沢はまだ☆(1キロ減)だったデビュー3年目の88年オークスで10番人気のコスモドリームで勝利。東京初騎乗での離れ業だった。91年天皇賞・秋で江田照が騎乗したプレクラスニーは6馬身差の2位入線だったが、1位入線メジロマックイーンの降着で“繰り上がりV”となった。

 ◇コパノキッキング 父スプリングアトラスト 母セラドン(母の父ゴールドヘイロー) セン4歳 栗東・村山厩舎所属 馬主・小林祥晃氏 生産者・米国レイリー・マクドナルド 戦績9戦7勝 総獲得賞金1億4937万2000円。

 ◆Dr.コパ(どくたー・こぱ、本名小林祥晃=こばやし・さちあき)1947年(昭22)5月5日生まれ、東京都世田谷区出身の71歳。日本大学理工学部建築学科卒。一級建築士、神職、愛知工業大学客員教授。Dr.コパとして風水・家相を用いた開運術の第一人者。01年に馬主資格を取得。本名の小林祥晃名義で「コパノ」「ラブミー」などの冠名の競走馬を所有。史上最多となるJRA&交流G1・11勝を挙げたコパノリッキーなどG1ホースのオーナー。

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