【安田記念】アーモンドドドドッ、最多タイG1・6連勝へ豪快3馬身先着
2019年5月30日 05:30 春の東京G1シリーズを締めくくる「第69回安田記念」(6月2日、東京)で、令和初戦を迎えるアーモンドアイが29日、主戦のクリストフ・ルメール(40)を背に最終追いを行った。Wコース3頭併せで豪快に3馬身先着し、帰国初戦の不安を一蹴。勝てばG1最多連勝記録に並ぶ6連勝。元号が変わっても平成最後の年度代表馬の快進撃は続く。
最終追い切りを終え、アーモンドアイと共に引き揚げてきたルメールの声が弾む。「いい加速だった。トップコンディション」。コース出口で出迎えた国枝師がうなずく。「スムーズな反応だな。申し分ない」。余計な説明はいらない。端的な表現こそが、何より状態の良さを伝えた。
ノチェブランカ(4歳3勝クラス)が先導し、アンティノウス(5歳同)を挟んで追走するパターンは先週と同じ。直線は最内に併せると、ルメールが「フェラーリのよう」と評する加速力を発揮。馬なりのまま並ぶ間もなく3馬身突き放した。「先週と同じメンバーで併せたが、今週の方が楽に動けていた。しまいの脚も良かった」と国枝師。先週は6F83秒7~1F12秒7、今週は同82秒3~12秒3。指揮官の感触は時計にも表れた。
海外帰国初戦は大きなポイントだが、国枝師は一笑に付す。「ドバイが思ったより快適だったし、帰国後の調整も順調。いつものアーモンドアイだよ」。凱旋門賞断念の要因ともなった、レース直後に見せる熱中症のような症状。だが、アーモンドが疲労らしい疲労を見せるのは、その瞬間だけ。回復が早いのも大きな武器だ。「走る時はちゃんと走って、それ以外は落ち着いている」。オンとオフがはっきりした性格も、無駄な疲れを残さない強さの要因だ。
マイル戦は桜花賞以来、1年2カ月ぶり。久々の距離を不安視する声もある。国枝師は「これまでよりスピードのある馬が出てくる。油断はできない」と警戒するが、ルメールは悠然と構える。「ドバイ(ターフ)は1800メートルでいい位置で流れに乗り、まだエンジンに余裕があった。東京マイルは大きくてタフなコース。むしろちょうどいい」。父ロードカナロアも2年5カ月ぶりのマイル戦を克服し13年安田記念を制した。父は距離延長、娘は短縮と過程は違うが、血統面からも克服する下地はある。
ライバルを問われたルメールはダノンプレミアム、モズアスコット、ステルヴィオとG1馬3頭を挙げた上で「それでも心配していない」と言い切った。7戦6勝を誇る同世代の2歳王者には敬意を払ったが、残る2頭は主戦として背中を知る馬。あえて名前を挙げたのは「負けない自信」の表れだ。