【大阪杯】松永幹師と斉藤崇師の師弟対決注目
2020年4月3日 05:30 【競馬人生劇場・平松さとし】本来なら先週はドバイワールドCが行われているはずだった。ご存じのように新型コロナウイルスの影響で第25回となる予定だった今年のドバイワールドCデーが来年に延期となってしまった。
過去24回のほとんどを現地で取材してきた。当然、たくさんの思い出があるが、ちょうど10年前の2010年も印象深い。この年、当時オールウエザーで行われていたドバイワールドCに挑んだ日本馬は1頭。松永幹夫厩舎の秋華賞馬レッドディザイア(牝、当時4歳)だ。
結果は残念ながら11着に敗れた。これを受けて松永調教師は「残念だけど競馬は負けることの方が多いですからね。ディザイアには良い経験をさせてもらったので、これを今後に生かしていきたいです」と言い、さらに続けた。
「前哨戦で勝負になることが分かっただけでも良い夢を見させてもらい、幸せでした」
前哨戦は本番と同条件で、現在はG1に昇格しているアルマクトゥームCR3。ここに走ったレッドディザイアは呉越同舟で現地入りしていたウオッカ(ダービーやジャパンCなどG1を7勝)やドバイWC2着もあるグロリアデカンペオン(その後、この年のドバイWCを1着)などを破って見事に優勝していた。
松永調教師と同じように夢を見たのが、現地の滞在にずっと同行していた調教助手だ。本番前の最終追い切りに彼がまたがると、5F50秒台の好時計をマーク。同調教助手は「ほぼ持ったままだったので相当、調子が良いのだと思います。楽しみです」と語っていた。
ちなみにその調教助手が現在の斉藤崇史調教師だ。今週末の大阪杯(G1)には牝馬が2頭だけ登録しているが、1頭は松永調教師のラッキーライラック、もう1頭は斉藤調教師のクロノジェネシスだ。10年前には名牝レッドディザイアでさまざまな経験を積んできた2人が、時を経て共に牝馬で頂点を争う。子弟コンビのそんなつばぜり合いが見られるのか、それとも牡馬勢が立ちはだかるのか。いずれにしろ無観客とは思えない好勝負になることを期待したい。(フリーライター)