【天皇賞・春】超良血シルヴァンシャー“未知の魅力”に期待

2020年4月29日 05:30

シルヴァンシャー

 【G1ドキュメント・栗東=28日】もしかすると“日本よりも米国で盛り上がる話題かもしれない”と岡崎は考える。米国でG1を11勝し、10年には米国で競馬殿堂入りを果たした名牝アゼリを母に持つシルヴァンシャーがG1に初挑戦するのだ。母は09年のキーンランド・ノベンバー・ブリーディングストックセールでノーザンファームの吉田勝己氏に225万ドル(当時約2億円)で落札されて来日。兄姉3頭はG1に駒を進めることはできなかったが、ついに孝行息子が登場。挑戦者の立場とあって担当の森沢助手はあくまで控えめだが、楽しみは持っている。

 「本当に完成するのはもう少し先だと思うけど、成長はしてますね。重賞でも十分に足りる馬。さすがにG1なんで、今回はあれですけどね」

 血統だけではなく人にもドラマがある。森沢助手はかつてオルフェーヴルを担当した職人肌。寡黙だが「自分の馬が負けたレースは(ビデオを)見ないんです」という熱いハートも持っている。ここはオルフェ産駒のメロディーレーンも出走予定。「そこまで意識はしてないです。自分の馬を走らすのに精いっぱいですから」というセリフは一見淡泊だが、かえって一頭一頭への愛情を感じさせた。

 昨年の京都大賞典(3着)以来7カ月ぶりの実戦。11月のスポニチ賞ステイヤーズSを脚元の不安で回避したため、万全を期して坂路一本で調整されている。常識的には厳しいものの、「元々仕上がりが早いタイプ。週を追うごとに状態は上がっているし、間に合うと思います」と出来には合格点だ。5歳だが、キャリアはわずか9戦。メンバー屈指の血統馬の未知の魅力に期待したい。

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