カツラギエースのような名馬誕生願って

2020年5月8日 05:30

83年NHK杯を制したカツラギエース

 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末はNHKマイルCが行われる。そのレース名からも分かるようにマイル戦。1600メートルのG1だ。

 1996年の創設当初は日本ダービーに出走権が与えられていない外国産馬がここを目標に仕上げられてきた。ゆえに98年のエルコンドルパサーや2001年のクロフネまで、最初の6年間は外国産馬が連続優勝。マル外ダービーなどと言われた。

 しかし、徐々に勢力分布図は変化。最近12年間はいずれも昔でいうマルパパ、つまり父親も日本で走っていた馬の子が優勝している。

 ちなみにマイルのG1になる以前、私が競馬を始めた頃はNHK杯という名で2000メートルの重賞。84年にグレード制が導入された際、G2になったダービーのトライアルだった。私が実際に見た馬で印象に残っているのは83年の勝ち馬カツラギエースだ。本番はミスターシービーの2冠達成の前に脇役に回るが、秋には当時菊花賞のトライアルだった京都新聞杯でミスターシービーを撃破。ところが本番の菊花賞では3冠を達成したミスターシービーの前にまたも涙をのむことになる。

 翌年、古馬になったカツラギエースは中距離で活躍。当時まだG2だった大阪杯を勝つと宝塚記念も制覇し念願のG1馬に。秋には毎日王冠(G2)でまたもミスターシービーを破るが、ここも本番の天皇賞(秋)では前年の3冠馬に軍配が上がる。どうしても本番ではかなわなかったのだ。

 そんなカツラギエースが覚醒したのが次走のジャパンC(G1)。ミスターシービーばかりかこの年、無敗で3冠を制したシンボリルドルフも出走していたが、彼らを相手に堂々の逃げ切り勝ちを演じるのだった。

 同馬は続く有馬記念(G1)でシンボリルドルフの2着になったのを最後に引退したが、この時の3着がミスターシービー。カツラギエースがミスターシービーと直接対決したのは8回で、半分にあたる4回は先着してみせたのだった。

 レースの質こそ大きく変わったNHKマイルCだが、今年も昔と変わらずゆくゆくは名馬となる馬が誕生してくれることを願いたい。(フリーライター)

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