【NHKマイルC】9番人気ラウダシオンV!ミルコ 史上初の連覇 単独2位32度目G1制覇

2020年5月11日 05:30

M・デムーロ騎乗のラウダシオン(右)はC・ルメール騎乗のレシステンシアと競り合いNHKマイルCを制す(撮影・西川祐介)

 3歳マイル王決定戦「第25回NHKマイルC」が10日、東京競馬場で行われた。ミルコ・デムーロ(41)騎乗の9番人気ラウダシオンが2番手から抜け出し、G1で重賞初勝利を飾った。M・デムーロは昨年のアドマイヤマーズに続き史上初の連覇。通算では歴代単独2位となる32回目のJRA・G1制覇となった。斉藤崇史師は2回目のG1勝利で、37歳8カ月12日での同レース制覇は史上最年少記録。

 無観客競馬のせいか、ゴール後にガッツポーズ一つ見せなかったM・デムーロ。だが検量室前に引き揚げてきた時には、ラウダシオンにキスをお見舞いするなど、いつもの陽気なイタリアンに戻っていた。

 大舞台に強い男の真骨頂が発揮されたレースだった。「(過去の)映像を見てスタートがいいし、一生懸命に走る馬だと思っていた。今日の馬場は後ろからあまり伸びていなかったので、一番いい所につけようと思った」。この分析力、判断力、戦略、そして思った通りに馬を御せる技術があるからこそなせる業。32回目のJRA・G1タイトルを、自らの心技体でもぎ取った。

 希代のG1ハンターが選んだ“一番いい所”とは、逃げたレシステンシアの直後。1番人気を大名マークする形でレースを運んだ。前半3Fのラップタイムは34秒1。重馬場だった桜花賞の34秒9より速いが、阪神JFの33秒7よりは遅い。「クリストフ(ルメール)がさすがのペースを刻んでいた。直線を向いてからの手応えは抜群だった。向かい風が凄かったけど、馬の力も凄かった。ずっと伸びてたし、差し切れそうな手応えだった。直線中ほどで、誰も来なかったので勝ったと思いました」と振り返った。

 コンビを組むのは今回が初めて。ここまで良績は1200メートル、1400メートルに集中しており、マイル戦は朝日杯FS(8着)の1走のみ。戦前は距離への不安がささやかれていた。だが、先週、今週と調教に騎乗してチェックしたM・デムーロは「調教に乗って距離には自信があった。1200メートルや1400メートルでは少し忙しい感じがした」とジャッジ。多少なりとも距離に不安を抱えていたら、“一番いい所”を選択しなかっただろう。昨年の秋華賞(クロノジェネシス)に続くG1制覇となった斉藤崇師は「追い切り後に話をして、ジョッキーは分かっていたので“あとはお任せするよ”と。距離はギリギリかなと思っていたけど勝ち時計もいいし、これでマイルはこなせると思った」と笑顔を見せた。

 父リアルインパクトにとっても、これが産駒初のG1制覇。11年NHKマイルCで3着に敗れた父のリベンジを果たす勝利でもあった。師は次走について「栗東に連れて帰ってから決めたい」と明言を避けたが、ダービーには登録せず、マイル路線を歩む予定。父は次戦に選んだ安田記念を3歳で制覇。父同様の道を進むのか、マイル界の新星の今後が注目される。

 ◆ラウダシオン 父リアルインパクト 母アンティフォナ(母の父ソングアンドアプレイヤー)牡3歳 栗東・斉藤崇厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道白老町の社台コーポレーション白老ファーム 戦績7戦4勝 総獲得賞金1億7540万5000円。

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