戸崎、23日東京で復帰!半年ぶりも焦りなし「徐々にゆっくり進めていく」

2020年5月13日 05:31

戸崎圭太

 名手が試練を乗り越えてターフに戻ってくる。昨年11月4日に 浦和競馬場で行われたJBCレディスクラシックで落馬し、右肘開放骨折の重傷を負って長期休養していた戸崎圭太(39)が、次週23日の東京競馬で約半年ぶりに戦列へ復帰する。12日、同騎手が本紙に明らかにした。14~16年に3年連続でリーディングを獲得した関東屈指の名騎手が、現在の心境とファンへの思いを熱く語った。

 騎手生命が危ぶまれるほどの大ケガから半年。慎重にリハビリを進めてきた戸崎が、ついに復帰へゴーサインを出した。「(1日に)美浦へ戻った時にはしっかり乗れるようになっていたが、もう少しパワーが欲しいのと、馬とのハミの感覚を戻したいという思いがあった。先週の金曜(8日)に乗った感じで“ヨシ!”と思った。いきなり今週からすぐは難しいので、1週空けて来週(23日)から行こうと決めました」

 長期休養の原因となった昨年11月4日の右肘開放骨折は、自身が「腕が、あり得ない方向に曲がっていた」と語ったほどの重傷。さらに、手術からリハビリと進む段階で戸崎は徐々に不安を募らせていた。「普通のケガは医師の診断より早く治るもの。半年と言われたけど、もっと早く戻れると簡単に考えていた。でも経過を見ているうちに“これは半年で戻れるのか…”と思うようになった」

 状況を好転させるため、今年1月17日にはリハビリを早く進める目的で患部にプレートを入れる再手術を実施。その後は順調に回復し、乗馬センターや育成牧場でのリハビリを経て、騎手としての自信を取り戻した。戸崎は「また馬に乗れること、ジョッキーを続けられることに幸せを感じている」と目を輝かせる。

 久々にターフへ姿を見せる次週23日の東京競馬場はコロナ禍の影響で無観客開催が決定済み。残念ながらファンに直接復帰を祝ってもらうことはできないが、戸崎は「寂しいですけど、テレビの前で“お帰り!”と言ってもらえたら」と笑顔でリクエスト。さらに「本当にたくさんの人に支えられ、応援してもらった。僕の復帰のために携わっていただいた全ての人に感謝しています」と続けた。

 復帰を決断したばかりとあって、今のところ騎乗予定馬は23日東京12Rのグラマラスライフ(牝5=田中博)1頭。それでも戸崎に焦りは全くない。「大きなケガで、ブランクも長い。いきなり以前のように…ではなく、徐々にゆっくり進めていこうと思う」と、静かに闘志を燃やす。

 ファンも、関係者も長く待ち望んできた関東トップジョッキーの復活。「休んだ6カ月の間に気付いたこと、感じたことをレースに生かしたい。この半年を無駄にはしたくない」。苦難を乗り越え、さらにスケールアップした名手。復帰してすぐに、ビッグレースで有力馬の騎乗依頼が舞い込む可能性も十分にある。

 【戸崎復帰までの経緯】
 19年11月4日 浦和競馬場で行われたJBCレディスクラシックでモンペルデュに騎乗し、スタート直後に内ラチへ接触する形で落馬。右肘開放骨折の重傷で救急搬送される。
 同6日 救急搬送された、さいたま市内の病院で手術を行い成功。
 同10日 同病院を退院し、自宅療養へ。
 同28日 患部を固定していたギプスが外れ、リハビリをスタート。
 20年1月17日 回復を早めるため、患部をプレートで固定する再手術を行い成功。徐々にリハビリのピッチを上げていく。
 2月23日 フェブラリーSに騎乗する南関東所属騎手3人を応援するため東京競馬場を訪問。
 3月中旬 乗馬クラブで馬に乗り始める。
 4月上旬 調教施設のある牧場で競走馬への騎乗を再開。
 5月1日 美浦トレセンで調教騎乗を再開。所属する田島厩舎の3頭の手綱を取り、笑顔を見せる。
 5月8日 この日の調教騎乗で手応えをつかみ、戦列復帰を決断。

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