【オークス】ミヤマザクラ90点 未熟な時を経て開花の香り
2020年5月19日 05:30 深山桜の開花はソメイヨシノより1カ月半遅い5月中旬。花径2センチぐらいの小さな白い5弁花が各地の人里離れた深山で開き始めている。そんな花便りがありました。ミヤマザクラも1カ月前の桜花賞時には固いつぼみのように未熟だった馬体を膨らませています。
肩に比べて薄手だったトモに柔らかい筋肉を付け、腹周りもとてもフックラしてきた。470キロ前後の体重以上にボリューム感があります。もともと機能性に優れた骨格の持ち主。例えば、トモと飛節は絶妙な角度でリンクしていました。開花の季節を迎えて、そんな高い機能性にパワーも加わったのです。距離延長にも対応できるゆとりのあるつくり。
春の歌になぞらえるなら、初音ミクの「深山桜」(作詞・まつき)しかないでしょう。人里離れたほこらで深山桜に寄り添いながら独り暮らす妖(あやかし)と人間の娘との出会いの物語。
♪人の浮き世は脆(もろ)く儚(はかな)く 妖の私には触れられぬ…。
馬も水道の蛇口のように人間の都合で開いたり閉じたりできません。時を待てばやがて素質は開花する。
♪まだ淡い空仰いで 春の香りを待つ…。
深山桜の花が香り立つ季節の到来です。