【札幌2歳S】“白い新恋人”ソダシ 白毛馬初の芝重賞V狙える!

2020年9月2日 05:30

<札幌2歳S>札幌競馬場で調教に臨むソダシ。鞍上は吉田隼(撮影・千葉茂)

 札幌開催を締めくくる「第55回札幌2歳S」(5日)に、真っ白な馬体のソダシ(牝=須貝、父クロフネ)が登場。ゴールドシップを手掛けた腕利き・今浪隆利厩務員(61)がケアする同馬には、ユキチャンなどの背中を知る“白毛マイスター”吉田隼人(36)が連日調教をつける熱の入れよう。万全の態勢で、白毛馬として初の芝重賞Vに挑む。

 朝焼けに照らされた札幌競馬場のパドックに、ソダシの白い馬体が映える。スクーリングを兼ねた引き運動を終えた今浪厩務員が苦笑して切りだした。「ゴールドシップの子供が5頭も出てくる。産駒には勝ってほしいけど、今回はライバル。負けられない。いろんな思いがあるよ」

 “愛すべき暴れん坊”ゴールドシップの女房役を務めた名物厩務員。今年はコロナ禍で牧場へ合いに行くことはかなっていないが、引退後は毎年、顔を合わせてきた。「ファンが多い馬。自分もたくさんの夢をもらった。現役当時はただただケガをさせないように必死だったけど、終わってみれば、自分はなんて幸せ者なんだと思えたよ」。愛馬の子供との対戦に、複雑な感情があふれ出す。

 今回の相棒ソダシもスター候補。祖母シラユキヒメ、母ブチコと脈々と連なる白毛血統で、白毛馬初となる芝の新馬戦勝利を決めた。その素質の高さは「フォームが良くてバネがあって柔らかい。ハードな調教もこなせている。これまで触った馬の中でもレベルは高い」と腕利きのお墨付き。「自分が白くて目立つのに、周りに敏感で他の馬に驚くこともあるよ」。愛嬌(あいきょう)たっぷりな2歳牝馬だ。

 ユキチャン、マーブルケーキなど多くの白毛馬に騎乗し、JRAで計4勝を挙げている鞍上・吉田隼もその潜在能力を高評価。「デビュー戦は能力だけで勝った感じ。その後も順調に来ています。白毛は口向きが難しい馬が多かったけど、ソダシはまだそんな感じはない。(調教での)ダートコースでの走りが凄いし、パワーがあるので洋芝が合うと思います」。

 ユキチャンが交流重賞3勝を挙げ、昨年8月にはハヤヤッコがレパードSを勝利。時折、白毛馬が存在感を発揮するようになったが、活躍の場は全てダート。芝でタイトルを手にした馬はいない。サンスクリット語で「輝き」と名付けられたソダシの純白に輝く馬体には、白毛ファンの大きな夢が詰まっている。

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2020年9月2日のニュース