【宝塚記念】タイトルホルダー 「国内最強」G1で3勝目 さあ凱旋門賞 レコード残して夢はフランスへ

2022年6月27日 05:30

タイトルホルダー

 最高のメンバーで先行日本一を誇示した。26日、阪神競馬場で行われた「第63回宝塚記念」は、横山和生(29)に導かれた2番人気タイトルホルダー(牡4=栗田)が道中2番手からレコードV。ファン投票1位に応えた。菊花賞、天皇賞・春に続くG13勝目。逃げる形以外で勝ったのは初、さらなる進化を証明した。さあ、夢は世界へと続く。今秋は29歳の若武者とともに、フランスへ。G1凱旋門賞(10月2日、パリロンシャン芝2400メートル)に挑戦する。


 ファンの声援に応えるかのように最後のひと押しが利いた。タイトルホルダーが直線で先頭に立った瞬間、スタンドから地鳴りのような大歓声が湧き上がる。残り1F、馬上の横山和がこん身の右ムチを1発、2発。2着ヒシイグアスを2馬身差で振り切って先頭でゴールを駆け抜けると鞍上は左手を高々と掲げた。勝ち時計2分9秒7は11年覇者アーネストリーが記録した2分10秒1を0秒4更新するコースレコード。「先生、やったー」。横山和は感情を前面に出し、栗田師とがっちり握手。喜びと同時に重圧からも解放された瞬間だった。

 先行争いで行き切ったパンサラッサが前半1000メートルを57秒6で通過する超ハイペース。無理に競りかけず道中2番手でチャンスをうかがった。「リズムをかき乱されないように。それだけを意識しました。(馬が)動きたいタイミングで動こうねと」。まさに人馬一体。4角で逃げ馬に並びかけ、直線は相棒を信じ、懸命に追い続けた。「ファンの皆さんの思いが届いたと思う。勝つことができてうれしい」と感謝した。

 ファン投票ではアイドルホース・オグリキャップの15万2016票(90年)を4万票近く上回り、歴代最多となる19万1394票を獲得。ファンの期待に応える走りで国内最強の地位を確立させた。横山和は「ひと言では言い表せないが大切な存在です」と相棒への思いを口にする。天皇賞・春、宝塚記念の同年Vは06年ディープインパクト以来で11頭目。天皇賞・春に続き、祖父・富雄元騎手(71年メジロムサシ)、父・典弘(91年メジロライアン、14年ゴールドシップ)との父子3代制覇となった。

 G12勝を含む3連勝で上半期を締めくくった。さあ欧州の大舞台へ――。仏G1凱旋門賞に登録を済ませている。栗田師は「オーナーから、勝てば(横山)和生騎手で凱旋門賞と話がありました。直行になると思う」と先を見据えた。

 これまで凱旋門賞で日本馬は06年ディープインパクト(3位入線後失格)、12&13年2着オルフェーヴルなど延べ29頭が出走して勝利をつかめていない。横山和は「そんなに甘い世界ではないがタイトルホルダーなら乗り越えてくれるかなと思っている」と信頼を寄せる。ひとつのドラマが快晴の仁川で完結し、壮大な物語は次のステージへ。欧州の頂を目指し、海の向こうに打って出る。

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