【秋華賞】ナミュール95点 首にパワーが付いた 体もふっくらと丸み

2022年10月11日 05:30

ナミュール

 2冠馬打倒の1、2、3、ダァーッ!鈴木康弘元調教師(78)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第27回秋華賞(16日、阪神)ではオークス2着スタニングローズ、3着ナミュール、9着エリカヴィータの3頭をトップ採点した。中でも達眼が捉えたのは、闘魂が注入されたようなナミュールの姿勢。1日に死去したアントニオ猪木さんの名言を用いながらマッチョなボディーを解説する。

 いつか見てろよ!という立ち向かう姿勢が大事――とはアントニオ猪木さんの名言です。競走馬にとっても姿勢は大事。オークス(3着)以来、5カ月ぶりに戦列に復帰するナミュールが見せたのも姿勢の変化です。オークス時の写真撮影ではダラリと伸ばしていた頭をしっかり起こして立っている。「見てろよ!」と言わんばかりの力強い姿勢。もちろん、馬がリベンジに燃えて姿勢を変えてきたわけではない。首にパワーが付いたことで自然と頭を起こして立つようになったのです。競走馬は首を上下させ、バランスを取りながら推進します。その競走能力を左右する部位が3歳の夏を越してパワーアップした。

 オークス時も前後肢に強じんな筋肉をつけていました。特にトモの筋肉が発達していましたが、そのトモのパワーと釣り合いが取れた首差し。白毛のG1ホース、ソダシのように盛り上がってきた首の筋肉が成長の証です。

 体つきを見ればオークスからの距離短縮もプラスになるでしょう。母の父ダイワメジャー譲りのマイラーっぽい厚手の筋肉を備えながらオークスの2400メートルでも頑張った。今春はレースを重ねるうちに馬体重が減っていきましたが、夏の休養を挟んで体もふっくらと丸みを帯びています。

 体ができれば精神面も自然についてくる││。これもアントニオ猪木さんの名言です。馬体ができたナミュールはオークス時に見せた気負いもなく、ハミをゆったりと受けています。体の成長に精神面も自然についてきた。

 「川の岸辺に目をやると きれいな大きな大きな 花が咲いている 今日も一日いくぞ 一、二、三、ダー」。猪木さんが亡くなる2カ月前、見舞いに訪れた弟子の藤波辰爾さんに託した直筆の詩の一部です。藤ナミュールも秋華の大輪を咲かせる急成長を遂げました。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の78歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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