【有馬記念】ジェラルディーナ 史上初母子制覇へラスト11秒8!斉藤崇師「お母さんに近づけるように」
2022年12月22日 05:20 エリザベス女王杯を勝ったジェラルディーナは余力残しでシャープな脚さばきを披露。史上初の母子制覇へ、充実ムードを漂わせている。
人と馬。三者それぞれの視線がしっかり目標をとらえた。見据えるのは「必勝」の二文字だ。
エリザベス女王杯Vからさらなる高みを目指すジェラルディーナの最終追いにアクセントがあった。先々週、先週とCWコース単走馬なりで明らかに軽かったが最後にはひと工夫。はるか前を走る僚馬アルサトワ(5歳オープン)を目標に、直線は外に併せる。楽な手応えで半馬身先着。6F86秒0~1F11秒8と時計は遅いが、グッと気持ちが乗ったことが分かった。この絶妙な仕上げこそ斉藤崇厩舎の実力、真骨頂。動きを見届けた指揮官は満足げで記者会見でも冗舌だった。
「今朝は併せてしっかりハミを取らせていい動きでした。先週、先々週が単走で流したので、今朝はもう少し気持ちを乗せてフィニッシュしたかった。良かったと思います」
この秋はオールカマー、エリザベス女王杯を連勝。気性面で粗削りだった少女が精神的な落ち着きを身につけたことで華麗なレディーに変身。持てるポテンシャルを100%引き出せるようになった。斉藤崇師からは強気な言葉しか出てこない。
「元々素質の高い馬が気性的に成長。精神的に落ち着きが出たことで、いろんなことができるようになった。折り合いに心配がないからどんな形態のコースでもしっかり対応できる。あとはクリスチャンが好きなように乗ってくれたら、結果は出ると思います」
全権を任されたC・デムーロは今や押しも押されもしない世界的なジョッキー。その名手がジェラルディーナにぞっこんなのだ。
「前走で凄く強い競馬をしてくれた。次に香港でG1を勝つウインマリリン相手に手応え十分に勝ってくれた。彼女のストロングポイントは折り合えて、どのポジションからでも競馬ができること。直線での瞬発力も素晴らしい。強いメンバーがそろうが、どこまでやれるか楽しみにしている」
この有馬記念には引退レースを勝利で飾った名牝ジェンティルドンナ(14年)との「母子制覇」の記録が懸かるが、それさえも通過点なのか。師はさらに先を見据えている。
「ようやくこの血統でG1を勝つことができましたが、もう1年間あるので。(G1・7勝を挙げた)お母さんに少しでも近づけるように、まずは母子制覇したいですね」と話す。母子制覇の先にはグランプリ覇者として世界進出の夢も当然出てくる。可能性の扉は開いたばかりだ。
《父子制覇は過去4回》有馬記念の親子制覇は過去に4回あった。84&85年に連覇したシンボリルドルフの子トウカイテイオーが93年に勝ち、06年覇者ディープインパクトの産駒は14年ジェンティルドンナ、16年サトノダイヤモンドの2頭がV。05年にディープを負かしたハーツクライの娘リスグラシューも19年に制した。これらは全て父子制覇。ジェンティルドンナの娘ジェラルディーナが勝てば、史上初の母子制覇となり、母の父ディープから続く3代制覇となる。また父子制覇が懸かるディープ産駒のジャスティンパレス&ポタジェのほか、12年覇者ゴールドシップの産駒ウインマイティー、17年優勝キタサンブラックの産駒イクイノックスにも注目だ。