【22年JRA10大ニュース】1位 藤沢和師引退 中央競馬歴代2位の通算1570勝

2022年12月31日 05:24

東京・大阪掲載<第96回中山記念・G2>2月、最終レースを終え花束を手にする藤沢和師

 まだ制限付きとはいえ、競馬場ににぎわいが戻った2022年。大みそかは恒例のスポニチ選定「JRA10大ニュース」で1年を振り返る。競馬の主役はサラブレッドだが、今年は多くのホースマンにもスポットが当たった。1位は、やはり惜しまれながらターフを去ったレジェンドトレーナーだ。

 中央競馬歴代2位となる通算1570勝の金字塔を打ち立てた藤沢和雄調教師が、70歳定年制により2月27日の中山競馬を最後に引退した。

 77年に調教助手としてキャリアをスタート。83年から所属した野平祐二厩舎では7冠馬シンボリルドルフの調教に携わった。87年に調教師免許を取得し、翌88年に厩舎を開業。英国修業で学んだ集団調教や馬なり調教など、当時の日本にはなかった手法を次々と導入して白星を量産。93年に44勝を挙げ、初の調教師リーディング。95~00年の6年連続を含め、09年までに年間最多勝調教師のタイトルを12回獲得した。

 数々のスターホースも育て上げた。日仏G15勝のタイキシャトル。02、03年に天皇賞・秋、有馬記念を連覇したシンボリクリスエスなどは種牡馬としても活躍。17年にはレイデオロで悲願のダービー制覇。最晩年の19~21年にはグランアレグリアがG16勝。84年グレード制導入以降で最多となるJRA・G134勝をマークした。

 後進ホースマンの育成にも貢献。近年では武幸師、四位師、蛯名正師などが開業前に次々と師事。レジェンドが培ったノウハウを惜しみなく伝授した。日本競馬の発展に寄与した功績は計り知れない。「馬優先主義」を掲げ、常にトップトレーナーとして君臨した34年の調教師人生。JRA通算1500勝を記念して美浦トレセンに建造された石碑には、信念として貫いた「一勝より一生」が刻まれた。

 【2位 福永が調教師試験合格】
 ダービー3勝を誇る名手・福永祐一が調教師試験に合格。来年2月いっぱいで騎手を引退し、トレーナーに転身することを発表した。「天才」と称された昭和の大騎手・福永洋一氏の長男で、96年3月2日、初騎乗から2連勝の鮮烈デビュー。武豊以来、史上2人目となる新人50勝を達成した。99年桜花賞をプリモディーネで制しG1初制覇。エイシンプレストンとのコンビで香港G13勝を挙げるなど海外でも活躍した。18年にはワグネリアンで日本ダービー初V。19度目の挑戦で父が獲得できなかったダービージョッキーの称号を手にした。現役3位のJRA通算2618勝、同G134勝(30日現在)。今年もフェブラリーS、皐月賞とG12勝を挙げ、13年連続となる年間100勝も達成。騎手としても一流の成績を保ったままの引退を惜しむ声も多い。残り2カ月、円熟の手綱さばきを目に焼き付けたい。

 【3位 女性騎手 聖奈の快進撃】
 JRA10人目の女性騎手として3月にデビューした今村聖奈(19)が快進撃。同13日の阪神8Rで初勝利。5月22日の新潟3Rで10勝目を挙げ、女性騎手のデビュー年最多勝記録を22年ぶりに更新。7月3日のCBC賞をテイエムスパーダで制し、史上5人目のJRA重賞初騎乗初V。10月23日の新潟2Rで44勝目を挙げ、藤田菜七子が持っていたJRA女性騎手の年間最多勝記録を更新。12月17日の中京5Rで、史上5人目の新人50勝。女性騎手の記録を次々と塗り替えただけでなく、ルーキーイヤーとしても驚異的な成績を収めた。28日のホープフルSではG1初騎乗(スカパラダイス18着)も達成。来年はさらなる大舞台での活躍が期待される。

 【4位 武豊 ダービー6勝】
 レジェンド武豊が、また新たな勲章を手にした。5月29日に行われた第89回日本ダービーをドウデュースで制覇。ダービー6勝目で自身の持つ最多勝記録を更新。53歳2カ月15日での優勝はダービー最年長V。29歳で初優勝した98年スペシャルウィークから20代、30代、40代、50代でダービーを制する快挙を成し遂げた。来年はデビュー37年目。日本競馬の至宝は、まだまだファンを魅了し続ける。

 【5位 障害王者オジュウチョウサン引退】
 障害の絶対王者オジュウチョウサンが、12月24日の中山大障害でラストラン。最後は6着に終わったが、場内のファンから惜しみない大拍手。レース後には障害馬としては異例の引退式も行われた。中山グランドジャンプ5連覇(16~20年)を含むJ・G19勝。障害重賞13連勝の金字塔を打ち立てた。18年には有馬記念にも挑戦(9着)。関連グッズが完売するなど多くのファンに愛された。

 【6位 ディープインパクト産駒全世代G1】
 10月22日、英ドンカスター競馬場で行われた2歳G1フューチュリティトロフィーをアイルランドの名門A・オブライエン厩舎のオーギュストロダンが制覇した。19年夏に急死したディープインパクトの最終世代のG1初制覇。同産駒は初年度から13代全てでG1制覇の偉業となった。国内で登録された最終世代の産駒は5頭で既に2頭が勝ち名乗り。来年は全世代クラシック制覇の期待が懸かる。

 【7位 伊藤雄二元調教師死去】
 昭和から平成にかけて活躍した名伯楽・伊藤雄二氏が8月17日、老衰のため85歳で死去した。59年に騎手デビューし、66年に調教師に転身。「水曜追い」「直前輸送」など、現在では主流となった手法をいち早く取り入れ、JRA歴代8位の1155勝をマーク。マックスビューティ、ウイニングチケット、エアグルーヴなど数々のスターホースを育て上げ、名トレーナーとして一時代を築いた。

 【8位 国枝師JRA通算1000勝】
 国枝栄師(67)が、7月2日の函館10Rをクライミングリリーで制し、JRA通算1000勝を達成。中央競馬史上15人目、現役では唯一の大台到達となった。調教助手を経て、90年に厩舎を開業。3冠牝馬アパパネ、G19勝アーモンドアイなど競馬史に残る名馬を育て上げた。関東屈指の名トレーナーだがダービーだけは8度挑戦して未勝利。来年こそは悲願達成なるか注目だ。

 【9位 G1、1番人気16連敗】
 本命党には受難の1年だった。JRA平地G1はフェブラリーSから菊花賞まで1番人気が連敗。前年のホープフルSから続いた16連敗は84年グレード制導入以降のワースト記録。JRA全重賞も京都牝馬Sまで19連敗でワースト記録となった。夏競馬でもエプソムCから小倉記念まで18連敗。師走に入り阪神JF→朝日杯FS→有馬記念と1番人気が3連勝で傾向は一変。来年はどうなる?

 【10位 東京競馬場に国際厩舎】
 東京競馬場の馬場内に新しく国際厩舎が完成。11月のジャパンCから運用を開始した。同レース(東京開催のG1)に出走する海外馬は到着空港から直接、競馬場への入厩が可能に。海外陣営に不評だった競馬学校での検疫の必要がなくなった。今年は欧州から4頭が来日。最新の設備を整えた厩舎は、どの陣営にも好評だった。来年の安田記念、ジャパンCでも世界の強豪参戦が期待される。

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