センスの塊ドルチェモア、ドゥラエレーデ潜在能力は本物 23年幕開け!春クラシック主役は…

2023年1月1日 05:30

ドルチェモア(左)とドゥラエレーデ

 5日の東西金杯から始まる2023年の中央競馬。今年も昨年同様、たくさんのドラマが生まれて大いに盛り上げてくれることだろう。中でも期待が高まるのは昨年の2歳G1を制した2頭の関西馬。朝日杯FS覇者のドルチェモア(牡3=須貝)とホープフルSを制したドゥラエレーデ(牡3=池添学)だ。オーナーを同じくする両馬が牡馬クラシック戦線でタイトルにふさわしい走りを披露する。

 ≪3連勝朝日杯V≫無傷3連勝での朝日杯FS制覇。2歳王者にふさわしい戦歴で、ドルチェモアが勝負強さを見せつけた。G1前日に担当の山田助手が「センスの塊」と表現していたが、その長所が凝縮されたレースだった。抜群のスタートでハナに立つも、オールパルフェが競りかけてペースが速いとみるや、鞍上の坂井がスッと好位に控えた。普通ならば掛かってしまうところ。ただ、操縦性の高さから力みすぎることなく収まり、鞍上の意のままに直線外に出されると、ゴーサインに応えてグイグイと伸びた。前半3F34秒1のハイペースで好位勢にも厳しい展開だったが、外から迫るダノンタッチダウンを首差振り切った。内枠を生かせるセンスの良さ、道中の絶妙な立ち回りが勝利を呼び込んだ。

 山田助手は「調教通りの走りが競馬でもできています」と振り返る。朝日杯FSの中間はイレ込むところがなく、精神的に大人になり体力面での成長も見られたという。

 「体力的にきついトレーニングをしてもしっかりご飯を食べられるのが大きいですね。調教量を増やしたり、強い負荷をかけてもイレ込まないのでやりやすかったです」と目を細めた。競馬場に行ってもそれは変わらない。「当日輸送が初めてだったんですが、思った通りの体で行けたし、ご飯も食べていました。いつも通り、過去2戦と同じ感じでした」と回顧。調整面での課題らしい課題が見つからない。

 今春は当然、主役として13年桜花賞を制した母アユサン同様、クラシック制覇の期待がかかる。距離延長がポイントになるが、同助手は「あの落ち着き払った走りと立ち回りの良さがあれば、中山の2000メートルでも大丈夫だと思います」と言う。アユサンがオークス4着と一気の距離延長でも健闘したように、2400メートルもこなせるだろう。放牧先での様子を見て、ローテが決定されるだろうが、まずは始動戦でどんな走りを見せてくれるか。同じ馬主・スリーエイチレーシング所有でホープフルS覇者のドゥラエレーデともども、3歳世代を引っ張っていく。


 ≪ホープフル制覇≫ 騎手も調教師も驚く勝利だった。ドゥラエレーデは14番人気でホープフルSを制覇。ゴール直後は2着トップナイフが前に出ているように見えたが、スローVTRが流れると、その瞬間だけ鼻差先着していた。池添学師が大喜び、関係者の反応で勝利を知ったムルザバエフも雄たけびをあげた。

 大波乱の結末だが、ドゥラエレーデの潜在能力は本物だ。出世レースとして名高い東スポ杯2歳Sはハナを切ったシルトホルンと競り合う形になりながら直線先頭に立ち、最後までよく粘っていた。瞬発力の違いに屈して4着だったが、この敗戦がG1で生きた。今回は2番手でうまくなだめながら、コーナーで息を入れられたことがポイント。直線突き放そうとする2着馬に食らいつき、最後にかわす勝負根性につながった。

 スローペースで流れが向いたことは事実でも、ムルザバエフが「切れる脚はないけどパワフル。距離が延びても問題ないと思う」と評価したように、展開利を結果につなげるだけの実力があったのだ。

 今後は近日中に栗東近郊のノーザンファームしがらきに放牧に出される予定。始動戦は未定だが、もうダークホースとは言わせない。堂々たるG1馬として、クラシックでもそのポテンシャルを見せつける。

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