【日本ダービー】サトノグランツの強襲届く!大外枠を生かす

2023年5月27日 05:27

サトノグランツ

 G1企画「展開王」は、この春も展開から勝ち馬を導き出す。競馬の祭典「第90回日本ダービー」では「超展開王」と題しボリュームアップ。美浦取材班の鈴木智憲記者が担当する。皐月賞馬ソールオリエンスの1強ムードだが、好位~中団からの競馬を選択した場合の死角を発見。大外から末脚勝負に懸ける穴馬を見つけ出した。

 先週のオークスは単勝1・4倍のリバティアイランドが、6馬身差の圧勝で断然人気に応えて2冠を達成した。1冠目の桜花賞が4角16番手からの大外強襲だったのに対し、2冠目は6番手追走から楽々と直線で抜け出してみせた。川田の心理を考えると、断然人気を背負い負けられない一戦だったからこその選択だった。

 今週のダービーも無敗の皐月賞馬ソールオリエンスの1強ムード。ソールも1冠目は4角17番手から大外一気の差し切り勝ち。ここまでの牡牝クラシック1冠目は似ている。鞍上は横山武だが心理状態は同じだろう。競馬界最高峰の祭典。2年前にエフフォーリアで鼻差2着に惜敗した舞台でもある。一方、川田が騎乗するサトノグランツは大外枠であくまで伏兵の立場。むしろ大外枠を生かす思い切った騎乗をしてくる可能性が高いとみる。

 さて本題。逃げるのは前走・プリンシパルSを逃げ切ったパクスオトマニカで間違いない。ここまで3勝しているが、勝ったレースはいずれも逃げ切りV。田辺も「持ち味を生かす」と話しており、積極的にハナを奪うはずだ。ベラジオオペラ、ドゥラエレーデなどが直後につけてマーク。スローにはならず、道中である程度流れる平均ペースで進む。

 ソールオリエンスは中団からの競馬を選択するはず。実際に2走前の京成杯は5番手から抜け出してV。できない芸当ではない。この展開になると他の有力馬は、ソールの動きをマークしながら運ぶ。タスティエーラ、ファントムシーフ、そしてサトノグランツ。特にグランツは外枠から内の馬のせめぎ合いを“高みの見物”ができる位置を取れる。

 3角入り口あたりから一気にペースアップ。馬群が一気に詰まる。なるべく外は回りたくないが、最も避けたいのは直線で前が詰まること。内枠のソールは進路を選ぶ“さばき”が必要となる。一方、川田グランツは名手同士の駆け引きを見極めながら、冷静に仕掛けのタイミングを待てる。

 2冠を目指して早めに抜け出すソールオリエンスに、仕掛けをワンテンポ遅らせたサトノグランツの強襲が届く。第90回ダービーのVシナリオの完成だ。

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2023年5月27日のニュース