【大井・ジャパンダートダービー】ミックファイア 22年ぶり無敗の南関3冠!御神本「最高です」

2023年7月13日 05:30

3冠達成のミックファイア。鞍上の御神本はガッツポーズ(撮影・村上大輔)

 今年で最後となるJpn1「第25回ジャパンダートダービー」が12日、大井競馬場で行われ、地元・大井の1番人気ミックファイア(牡3=渡辺和)が中央勢を撃破して快勝。羽田盃、東京ダービーに続きデビューから6連勝。01年トーシンブリザード(船橋)以来22年ぶりとなる無敗での南関東クラシック3冠制覇を成し遂げた。鞍上の御神本訓史(41=大井)は同レース初制覇となった。

 無敗3冠達成。22年ぶりの偉業を成し遂げたミックファイアと御神本は、余韻をかみしめながらゆっくり歩いてファンの前へ。すると場内からは「ミカモト!ミカモト!!」の大合唱。右手を上げて応える御神本。向きを変えると今度は左手を上げて再びファンに馬の力を鼓舞して見せた。中野栄治(現調教師)騎乗のアイネスフウジンが90年日本ダービーを勝った時に湧き上がった伝説の「ナカノコール」。その現場に“競馬ファン”として立っていた渡辺和師も感慨深げ。プレッシャーから解き放たれた御神本と師は「最高です」と声をそろえた。

 好スタートを切ったが、すぐ外のミトノオーが積極的にハナを奪いに行く展開。次々と前に入られ前半は5番手まで下がった。「もっと前の位置取りから正攻法の競馬」(渡辺和師)が理想だったが、さすがにJRA勢が相手では思うようにいかない。4角から直線にかけて逃げたミトノオーが再びペースアップ。追いかけるようにポジションを上げたが、直線に向いたところでは厳しい位置。それでも御神本は諦めない。右ステッキ1発でゴーサインを出すと手綱を絞って追い通し。残り100メートルでミトノオーを捉え、最後は追い上げたキリンジを2馬身半突き放した。

 ゴールの瞬間、左手を何度も突き上げた御神本。「道中の手応えも良くなかったが、最後まで気持ちを切らさず走ってくれた馬に感謝したい。JRAの超一流馬に勝って先につながる光が見えた」と将来性に太鼓判を押した。来年からダート路線の大改革で消滅するレース。最後の覇者のセリでの価格は550万円(21年サマーセール)。見事な“成り上がり”物語で締めくくられた。

 今後は休養を挟んで秋の飛躍を期す。「JBCクラシック(11月3日、大井)からJRAのチャンピオンズC(12月3日、中京)に挑戦したい。もうそれを口に出していい馬でしょう」。そう言葉をつないだ渡辺和師の口調は自信に満ちあふれていた。空前のハイセイコーブームから半世紀。昭和のヒーローを育んだ大井から、令和の新ヒーローが誕生した。

 ≪来年から新たなダート3冠スタート≫中央、地方をまたいだ3歳ダート最強馬決定戦として、99年に創設されたジャパンダートダービー(JDD)。来年からスタートする、新たなダート3冠路線の整備に伴い、今年で役目を終えて四半世紀の歴史に幕を閉じる。

 今年まで南関東所属馬限定で行われた羽田盃、東京ダービーのクラシック2競走が、来年から中央馬にも開放され交流Jpn1に“昇格”。JDDは秋のダート最終冠として、舞台の大井2000メートルはそのまま10月に移設。名称も「ジャパンダートクラシック」に変更される。中央競馬のクラシック3冠(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)に準ずる形を整え、国内のダート競馬の全体的なレベルアップを目指す。

 将来的には国際G1への昇格も見据えた一大プロジェクト。ミックファイアのような中央馬と互角に戦える地方馬の登場が、新時代への大きな励みとなったのは間違いない。

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2023年7月13日のニュース