【中京記念】8番人気セルバーグまんまと逃げ切り 夏の中京リーディング・松山さすが

2023年7月24日 05:30

<中京11R・中京記念>後続を抑え逃げ切り勝ちのセルバーグ(右)と馬上でガッツポーズの松山弘平(撮影・亀井 直樹)

 今年も平穏には収まらなかった。夏の中京ラストを飾るサマーマイルシリーズ第2戦「第71回中京記念」が23日、4年ぶりに中京競馬場で行われた。8番人気セルバーグ(牡4=鈴木孝)が逃げ切り、重賞初制覇。騎乗した松山弘平(33)は夏の中京リーディングに輝いた。3頭出走した牝馬が2、3、5着で“夏は牝馬”と思わせる結果になった。

 言い古された競馬の格言がターフの上で表現された。人気薄の逃げ切り。してやったり。8番人気のセルバーグが重賞初Vを決めた。6番枠から促して先頭へ。2F目から11秒台のラップを刻んで飛ばしていく。直線に入り、残り300メートルあたりから松山の右ステッキが飛ぶ。内でしぶとく踏ん張り、そのままVゴールを駆け抜けた。右手でガッツポーズ。前走からの連続コンビで答えを出した。喜びの声があふれた。

 「いい枠を引けましたし、長く脚を使えるこの馬に馬場も向きました。しっかりとハナを切って、最後までしぶとく脚を使ってくれました。気性面で難しい面もありますが、これからもやってくれると思います。前走は結果を出せなかったけど、続けて乗せていただいて感謝しています」

 走破タイム1分33秒0と時計も優秀。掲示板を確保した他の4頭は全て4角7番手以下、差し優位の馬場を思えば決してフロックではない。愛知県出身のご当地トレーナー・鈴木孝師もプラン通りのレースに納得の表情。「ジョッキーと相談して逃げられるようなら逃げようと。2勝クラスで1分32秒台で走れていますし、前で運べればしぶとい。前回からいろいろと工夫して、イレ込みもマシにはなっています」と振り返った。松山は最終レースも勝ち、逆転で夏の中京リーディングに輝いた。好調男が荒れ気味の馬場をうまくリードした。

 前走の米子S(12着)は直線の不利もあったが、レース前に馬っ気を出し、消耗が激しかった。担当の東厩務員も「当日のテンションが鍵」と話していた。そのあたりはいくらか改善。今後は関屋記念(8月13日、新潟)を視野に調整が行われる。トレーナーは「マイルがベストですからね。サマーマイルシリーズのこともありますから」と見通しを語った。重賞ウイナーとして堂々と向かう夏ロード。サマーマイル王の称号を目指して突き進む。

 ◇セルバーグ 父エピファネイア 母エナチャン(母の父キンシャサノキセキ) 19年4月12日生まれ 牡4歳 栗東・鈴木孝厩舎所属 馬主・桑畑夏美氏 生産者・北海道新ひだか町の前谷武志氏 戦績14戦5勝 総獲得賞金9780万4000円 馬名の由来は人名より。

 《記録アラカルト》
 ☆松山 中京記念は19年グルーヴィット以来、4年ぶり2勝目。JRA重賞は弥生賞ディープインパクト記念(タスティエーラ)に続く今年3勝目で通算38勝目。 
 ☆鈴木孝師 管理馬3頭目の出走で中京記念初勝利。JRA重賞は20年きさらぎ賞(コルテジア)以来、通算2勝目。 
 ☆血統 エピファネイア産駒は2頭目の出走で初勝利。JRA重賞はエプソムC(ジャスティンカフェ)に続く今年2勝目で通算13勝目。 
 ☆逃走劇 逃げ切りは86年以降では22年ベレヌスに続く2年連続6回目。

 《調教師部門は清水久師》
 夏の中京開催は23日で終了。13勝を挙げた松山が騎手リーディングを獲得した。前週まで岩田望と勝ち星で並んでいたが(2着数で岩田望がトップ)今週の4勝で決着した。「皆さまのおかげでリーディングを獲ることができました。大変な暑さの中、頑張ってくれた馬たちや関係者の方々、応援してくださったファンの皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。調教師部門は清水久詞師(51)が5勝でリーディングとなった。

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