北海道出張3週目。先週金曜まで函館に滞在し、仕事を終えて札幌へ。時間の都合により飛行機で向かう。その翌朝は初めての札幌競馬場勤務で動線が分からずややバタバタに。ただ日曜になればJR桑園駅から競馬場、場内の記者室や検量室前までの道筋も覚えてスムーズだった。

　この日は札幌記念があって大盛り上がりだった。前半レースで検量室前に降りると、複数の騎手が芝はやや重の印象以上に馬場状態が悪く、内側はかなり厳しいとこぼしていた。札幌記念も道悪の巧拙が結果を左右した点は否めないが、それにしても勝ったプログノーシスは強かった。道中ポジションを押し上げながら、最後まで鋭く脚を使っていた。あんな競馬ができるんだ…と脱帽。14年に川田で札幌記念を勝ったハープスターを思い出す臨機応変の運び方だった。

　月曜に再び函館に移動。全休日で時間に余裕があるのでJR札幌駅から特急「北斗」で4時間ほど揺られた。車窓から風景を眺めれば予想が外れてすさんだ気持ちも癒やされる。東室蘭駅に停車時に、その先の単線区間で函館発の電車が線路上の鹿と衝突したとのアナウンスが流れ、15分ほど待機。それでも眠気に時折誘われながら、意外とあっという間に時間が過ぎた。

　さあ今週がラスト。札幌開催中に函館がトレセン状態となる通称「裏函」は今週木曜で閉場となる。夏の終わりを感じながら、キーンランドCの取材だ。調教終わりの大竹厩舎・松浦助手にシュバルツカイザーの質問をぶつける。去勢明けで5カ月ぶりだった今年4月の船橋S以降の4戦で【2101】。千二起用もハマった印象がある。一昨年にはニュージーランドT5着などマイルにも対応していたが「年をとって集中力が持たなくなってきて…。そういう意味で去勢したのもあると思います」。加えて3走前の朱雀S（6着）時から調教でキネトン鼻革を着用。鼻革の金属部分（ハミ環）の内側に通す特殊な馬具で、折り合い面に課題がある馬をコントロールするのに効果がある。「コントロールもできるし、馬が起きたところで我慢できてバランスが良くなりましたね」と説明した。

　同厩で札幌記念3着だったソーヴァリアントも調教時からハミをダブルジョイントからリングハミに変更し、メンコも着用した。近2走（中山記念9着→鳴尾記念12着）の大敗から立ち直らせるのに一定の効果をもたらした。「野球選手も速球派から技巧派だったり、年とともに変わっていく部分がありますしね」。その時々に合ったレース選択や、調教方法や馬具などの工夫で厩舎サイドは試行錯誤を繰り返す。

　シュバルツカイザーは短距離路線で軌道に乗り、久々の重賞挑戦へ。「グングン良くなっている感じ。札幌記念のような馬場は得意だと思いますよ」と色気ありだ。日曜の札幌は曇りのち雨の予報。今週も大竹厩舎が存在感を放つか。鞍上はモレイラ。ワールドオールスタージョッキーズ（WASJ）も含めて手綱さばきに注目したい。（坂田　高浩）