【秋華賞】リバティアイランド担当の長谷川装蹄師 ズバぬけていた脚の軽さと評判通りの素質馬と実感

2023年10月12日 05:30

川田将雅を背に馬場入りするリバティアイランド

 装蹄師は競走馬を裏側で支える職人。全力疾走を引き出すため脚元のケアは最も大事で、蹄鉄の打ち方ひとつで走りのバランスが変わる。リバティアイランドの担当を任されている長谷川装蹄師は「もちろん責任感はありますが、これだけの素晴らしい馬に携わることができて感謝しかないです」と笑みを浮かべた。
 怪物がやってくる。出合いはデビュー前、昨夏のトレセン初入厩時だった。牧場でのうわさはよく耳にしていたが実際に触れ、評判通りの素質馬だと実感。「脚を抱えた時の軽さに驚いて、そこに関してはズバぬけているものを持っていました」と当時を振り返る。

 レース同様、削蹄中と蹄鉄の打ち替えの際も堂々たる立ち姿。静かに作業の終わりを待つ。蹄鉄自体は至って普通だが走る馬の特長ともいわれる蹄の薄さが特徴的。「デビュー当初から皮膚と蹄は薄かったです。基本的にはおとなしく利口なので、あまり苦労した経験はないが繊細なお嬢様。くぎ付けの時は機嫌を損ねないように気を付けています」とポイントを挙げる。

 15年間の下積みを経て独立。独り立ちし、11年がたった。これまで17年朝日杯FSを制したダノンプレミアム、21年BCフィリー&メアターフを含むG1・4勝のラヴズオンリーユー、現役では21年ダービーと昨年ドバイシーマクラシックを制したシャフリヤールなど数多くのG1馬を担当している。「馬主さん、生産者の思いがたくさん詰まっている。常に責任感を持っていますし、関係者の方々が喜んでいる姿を見るのが一番うれしい」と装蹄師としてのやりがいを語りつつ、「とにかく無事にゲート入りし、無事に帰ってきてほしい。それで結果がついてくれば最高です」と本音を語った。レース直前までしっかり脚元をケアし、万全の状態で本番へ送り出す。

 ◇長谷川 孝文(はせがわ・たかふみ)1978年(昭53)10月30日生まれ、滋賀県出身の44歳。高校卒業後に装蹄師を養成する専門学校に入学し、90年桜花賞馬アグネスフローラ、99年ダービー馬アドマイヤベガ、01年皐月賞馬アグネスタキオンなどを担当した松若清人装蹄師の下に19歳で弟子入り。15年間の下積み時代を経て独立した。

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