【マイルCS】ナミュール剛脚V 8度目G1で初戴冠 藤岡康がムーアの代打騎乗で14年ぶりG1制覇

2023年11月20日 05:30

<マイルCS> 1着でゴールしたナミュール(撮影・後藤 大輝)

 目が覚める末脚で直線一気のごぼう抜き!19日、4年ぶりに京都で開催された「第40回マイルCS」は紅一点ナミュールが後方待機からズバッと差し切りを決めた。ムーアの落馬負傷により、急きょコンビを組んだ藤岡康太(34)の絶妙なリードでG1初制覇。高野友和師(47)は全て牝馬でJRA・G15勝目だ。牝馬は20&21年グランアレグリア以来、7頭目の勝利。生産牧場ノーザンファームはJRA・G1実施機会11連勝の新記録となった。

 期待に応え、最高の結果に導いた。メンバー中、唯一の牝馬ナミュールは騎乗予定のムーアがこの日、2Rで落馬負傷。乗り替わりとなり、藤岡康に白羽の矢が立った。「これだけの馬に急きょ乗せていただくことになりましたけど(事前に)高野先生や前走で騎乗されたモレイラ騎手に話を聞いて、いいイメージで臨むことができました」と冷静に対処。初コンタクトで力をフルに引き出した。

 一切、迷いがなかった。大外16番枠からスタートが決まらず、道中は後方から2番手。腹をくくって末脚に懸けた。「ゲートのタイミングが合わなかったので気持ちを切り替え、道中はリズムを崩さず、バランス良く走らせることを心がけました」。道中の通過順のまま直線へ。届くのか――。誰もがそう思うような状況でも鞍上は諦めることなく、激しいアクションで鼓舞し続けた。するとギアが切り替わり、グイグイ加速。メンバー最速の上がり3F33秒0と極上の末脚を繰り出し、最後は先に抜け出したソウルラッシュを首差で捉え、G1初制覇のゴールへ。「いつでも反応できそうな手応えだったので、ぎりぎりまで追い出しを我慢。反応が凄く良くてコース取りを間違えなければ、と思いました。いい脚を使ってくれました」とパートナーを称えた。

 藤岡康にとってはデビュー3年目の09年NHKマイルC(ジョーカプチーノ)以来、14年ぶり2度目のJRA・G1制覇。「うれしい気持ちより、プレッシャーの方がありました。ムーア騎手から、おめでとうと声をかけてもらい、ホッとしました」と笑みを浮かべた。

 ナミュール自身は、これが8度目のG1チャレンジ。高野師はこの秋の活躍を確信していた。4歳秋を迎え、体がひと回り成長。高野師は「ジョッキーがよくやってくれました。馬も肉体的に成長し、体力がついて充実期を迎えたと思います」と人馬をねぎらった。

 11年開業の高野師はショウナンパンドラで14年秋華賞、15年ジャパンC、レイパパレで21年大阪杯、スタニングローズで22年秋華賞V。あの3頭に続き、またも牝馬でビッグタイトルを手にした。厩舎は違うが高野師は目標の存在として同馬主で19年コックスプレート(オーストラリア)、有馬記念などG1を4勝した名牝リスグラシューをイメージしている。「あの馬と同じような成長曲線を描ければ、と思っているんです。今日の勝利で偉大な先輩に近づく一歩を踏み出せたのではないでしょうか」。生産牧場ノーザンファームのJRA・G1実施機会11連勝の新記録にも貢献。今後は新マイル女王として名牝への道を歩んでいく。

 ナミュール 父ハービンジャー 母サンブルエミューズ(母の父ダイワメジャー)19年3月2日生まれ 牝4歳 栗東・高野厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績13戦5勝(重賞3勝目) 総獲得賞金4億3655万1000円 馬名はサンブル川とミューズ川が合流するベルギーの都市(母名より連想)。

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