【皐月賞】ジャスティンミラノ無敗1冠! 戸崎&友道師も歓喜の涙「康太が後押ししてくれた」

2024年4月15日 05:29

<中山11R・皐月賞>レースを制したジャスティンミラノ(中央手前)(撮影・村上 大輔)

 3歳牡馬クラシック第1弾「第84回皐月賞」が14日、中山競馬場で行われ、2番人気ジャスティンミラノがデビュー3連勝。従来のコースレコード(15年中山金杯=ラブリーデイ)を0秒7更新し、昨年のソールオリエンスに続き史上21頭目となる無敗の皐月賞馬に輝いた。同馬は落馬事故により10日に急逝した藤岡康太騎手(享年35)が調教パートナーを務めていた。鞍上の戸崎圭太(43)は18年エポカドーロ、管理する友道康夫師(60)は09年アンライバルド以来の2勝目。日本ダービー(5月26日、東京)で史上8頭目となる無敗2冠を目指す。

 「康太!!康太!!」。友道師がそう叫んだ直線。ジャスティンミラノと戸崎の背中を、確かに見えない力が押した。1分57秒1、驚がくのコースレコード。全身全霊を傾けた人馬を出迎えたのは4万を超える大観衆の祝福。引き揚げてきたヒーローを迎えた友道師、厩舎スタッフは人目をはばからずに号泣した。

 ミラノは普段から友道厩舎の調教を手伝っていた藤岡康太騎手が調教パートナー。先月28日、今月3日の追い切りにも騎乗していた。友道師は「“1週前追い切りとしては最高の内容でした”と報告してくれたのが最後に交わした言葉。昨秋の早い時季から能力を感じてくれて、ここまで育ててくれた。この勝利は彼のおかげ」と涙を流す。戸崎も「康太が細かく状態を教えてくれていた。今日は彼の思いも背負ったレース。きっと…喜んでくれているんじゃないかな」と言葉を詰まらせた。

 競馬史に刻まれる激闘だった。道中、ミラノは5番手を追走。「いいスタートを切っていい位置を取れた。馬とのリズムを大事に乗った」と戸崎。絶好位を確保した…はずだったが、大逃げメイショウタバルが刻んだ前半5F57秒5は皐月賞史上最速のハイラップ。先行3騎は早々と失速。代わって、その直後にいた2歳王者ジャンタルマンタルが早め先頭から押し切りを狙うが脚色が鈍る。それを追うミラノも手応えは苦しい。中山名物の急坂。後方で脚をためていたコスモキュランダが大外から飛んできた。差し切る勢い。だが、馬体を併せると、ミラノが意地でも前を譲らない。戸崎も右ムチ3発で懸命に鼓舞。「今日の首差は康太が後押ししてくれたもの」。殊勲の鞍上はタイム差なしの激闘の勝因をそう振り返った。

 小回り、1周するコース形態、ハイペース。さまざまな初物をあっさりクリアしてみせた無敗の皐月賞馬。キャリア3戦目での戴冠はソールオリエンスに並んで史上最少だ。友道師は「レース前からダービーの方が競馬がしやすいと思っていた。皐月賞馬として2冠を狙いたい」と力強く宣言。20年コントレイル以来となる無敗2冠へ自信をのぞかせた。最後は、指揮官も鞍上も異口同音に「ありがとうございました。お疲れさまでした」と空を見つめた。涙の皐月賞から始まる3冠物語。ダービーでもきっと、背中を押してくれる。

 ◆ジャスティンミラノ 父キズナ 母マーゴットディド(母の父エクシードアンドエクセル)21年4月9日生まれ 牡3歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・三木正浩氏 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績3戦3勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億7482万1000円 馬名の由来は冠名+イタリアの地名。

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