【追憶の函館2歳S】08年フィフスペトル 三浦皇成が初重賞制覇!コメントも勝負どころの判断も新人離れ
2024年7月10日 06:45 6月5日の東京ダービー(大井)をラムジェットで制し、中堅騎手として存在感を見せつけた三浦皇成(34)。若い競馬ファンの中には知らない人もいるのかもしれないが、そのデビューは鮮烈だった。
08年3月1日、中山競馬場。三浦がデビューしたその日、騎乗3鞍目の10R・潮来特別。6番人気フェニコーンを好位追走からあっさり勝たせると、スタンドがどよめいた。
潮来特別は2500メートルの特別戦。新人騎手の初勝利といえば、減量が利く一般戦の短距離レースと相場が決まっている。想像の範ちゅうを超えた初勝利だった。
1年目の夏は北海道に滞在した三浦。函館開催のフィナーレで若武者は、またも驚かせた。2番人気フィフスペトルで4角10番手から差し切り、重賞初制覇を決めたのだ。
スタートはやや出負け。しかし、スーパールーキーに焦りはなかった。「デビュー前から調教に乗せてもらって、分かっていた。じっくりタメていけば切れる脚を使う。3角で自分からハミを取る」
その言葉通り、3角から徐々に上昇したフィフスペトル。4角で外をうかがうが、馬群の真ん中にスペースができそうなことを察し、三浦はフィフスペトルをそこに滑り込ませ、見事に差し切った。
「たまげたよ!」。加藤征弘師が、この判断に驚きの声を上げた。「コーナーで変に外に回さず、じっとして、あの競馬だもんね」。レース前、「思い切って乗ってこい!」と背中を叩いて三浦を送り出した同師だったが、予想を超えた騎乗ぶりに目を丸くした。
この時、三浦は18歳7カ月23日。武幸四郎(現調教師)の18歳3カ月28日、武豊の18歳6カ月27日などに次ぐ、当時5番目となる「JRA重賞優勝騎手年少記録」をマークした。
その後、落馬による大ケガに悩まされた三浦だが、まだ34歳。ここから大きく飛躍することは十分に可能だ。ラムジェットとのコンビで、また競馬ファンを驚かせてほしい。