来年もJRA騎乗いける!モレイラ WASJ逆転頂点 4位から“差した”最終戦でマジックマン本領

2024年8月26日 05:29

WASJ表彰式で壇上に立つ(右から)3位の坂井、優勝のモレイラ、2位の武豊(左はプレゼンターの阿部詩)(撮影・千葉 茂)

 さすがマジックマン!「2024ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)」は25日、札幌競馬場で2日目が行われた。初日5位で折り返したジョアン・モレイラ(40=ブラジル)が最終戦(12R)で逆転、15年以来2度目の優勝を飾った。5位以内に入ったことでJRAでの短期免許申請資格を獲得。来年以降も日本での騎乗が見られる可能性が高まった。札幌11Rのサマースプリントシリーズ第5戦「第19回キーンランドC」はサトノレーヴが重賞連勝でスプリンターズS(9月29日、中山)の優先出走権を手にした。新潟11R「第44回新潟2歳S」はトータルクラリティがデビュー2連勝を飾った。

 マジックマンの凄腕が最終戦でさく裂!Cランクのエゾダイモンを駆り、ゴール前で図ったかのように末脚を引き出した。スタート後はリズム重視でゆったりと馬群に入れる。向正面で促しつつギアを入れ替えていき、直線入り口で外に導く。右ステッキで鼓舞してエンジン全開。内でせめぎ合うライバル馬をまとめてかわし、2着エグランタインを首差捉えた。ゴール後は右手で力強く拳を握りしめ、左手でパートナーをねぎらった。モレイラはWASJで15年以来、9年ぶり2回目の優勝。「レベルが高い競馬をする日本で勝てたのはうれしいです。15年の時から変わらず、年を取っていない、同じだと感じることができました」と喜びをかみしめた。

 初日5位で2日目を迎えたモレイラは第3戦で騎乗したBランクのサムハンターが5着。最終戦前に4位に順位を上げ、自力で優勝を決めるには最終戦で1着が必要だった。WASJの結末もレースと同じく、マジックを使ったかのような逆転劇。「素晴らしい馬に乗ることができて、凄く力を出してくれました」と頬を緩めた。

 短期免許制度の成績要件変更により、外国人騎手は今年のWASJで5位以内に入れば25年度のJRA短期免許の申請資格を得られる。今年は4月から約2カ月間の短期免許期間で日本で騎乗。桜花賞をステレンボッシュで制したものの、JRAが定める<当該年または過去2年でJRA・G12勝以上>は達成できず、来年以降の申請資格は得られなかった。WASJ前に「まだ諦めていません」と語っていた通り、特別な思いがあった。「もちろん簡単に権利が獲れると思っていなかったし、勝つためにチャレンジをしなくてはいけないと思っていました。いつも頭の片隅にはありましたし、来年、再来年も戻ってきたい」と語った。晩夏の札幌で披露した巧みな手綱さばきで今後も日本のファンを魅了していく。

 ◇ジョアン・モレイラ 1983年9月26日生まれ、ブラジル出身の40歳。00年に同国でデビュー。09年にシンガポール、13年に香港に移籍し、両国でリーディング首位各4回。現在はブラジルで騎乗。日本では16年8月に札幌で史上最多タイの騎乗機会7連勝。JRA通算634戦189勝(重賞13勝)。

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