【直前インタビュー(2)】藤田晋オーナー BCクラシック挑戦のフォーエバーヤング「目標が新しく一つ」
2024年10月2日 05:00 現地観戦したケンタッキーダービーは歴史に残る死闘に。フォーエバーヤングは鼻+鼻差の3着に惜敗。
「世界がもうすぐ手の届くところにあるんだ、と。あれだけ小さな差で負けたら(海外のビッグレースを)絶対勝ちたいと思ってしまいますよね。達成したい目標というのは人生の中で少なくなっていくものですけど、それがまた新しく一つできました。フォーエバーヤングのおかげです」
最後の直線では米国馬シエラレオーネ(2着)がフォーエバーヤングの方へ寄って何度も接触。国内外で大きな物議をかもし、坂井騎手が事情を説明する事態(※1)となった。
「SNSではファンの方々にフォーエバーヤングの健闘が物凄く称えられていたので、オーナーが余計なことを言って水を差さないようにしよう、と。帰国後に矢作先生から“申し立てをすれば、もしかしたら着順が繰り上がるし、賞金も増えるかもしれない”と教えていただきましたけど、僕から“結構です”と伝えました」
再度の米国遠征、BCクラシック挑戦はすぐに決まった。
「レース直後に矢作先生が“BCクラシックでシエラレオーネにリベンジするぞ!”と名指しで言っていたので」
ケンタッキーダービー後、同馬を「本当に凄い」と形容した真意は。
「門別(JBC2歳優駿)、川崎(全日本2歳優駿)、サウジ、ドバイとメンバーレベルが計りにくくて本当に強いのかどうか半信半疑でした。米国の強い相手に上位争いをして、本当“に”強かったんだと感じました」
壮行レースになるはずの秋初戦ジャパンダートクラシックには超がつく豪華メンバーが集まった。
「矢作先生も(坂井)瑠星騎手も地元の大井なので負けられない雰囲気ですけど、他の出走馬を見ると海外の主要レースよりきついんじゃないかと思えるぐらい。ラムジェットはめちゃくちゃ強いですし、前田幸治会長からも“勝負だな”と言われました。ミッキーファイトは弟(ヤノマスティーロ=2歳未出走)を所有していて、当初から注目していた馬。本当にレースが楽しみです。多少負けても、叩きってことで…(笑い)」
BCスプリントに出走するメタマックスは菅原明が騎乗予定。坂井同様に20代の若手騎手を起用する。
「森先生からそういう話をいただいたので。せっかくだったら日本の騎手で勝ちたい気持ちもあります。日本からの応援のされ方が違いますし、そちらの方が自分もうれしい。瑠星君も菅原君もトップの外国人騎手のレベルの高さを知っているだろうし、その中で勝ちきってもらいたいです」
ビッグチャレンジが控えるシンエンペラーとフォーエバーヤングだが、2頭の今後の現役生活のイメージは。
「シンエンペラーはクラシックで惜しい展開が続いたので、どこかで日本国内のG1を勝ってほしいです。今回の走り次第ですけど、来年も凱旋門賞を走ってほしいとも思っています。一度経験しているのは大きいと思うので。フォーエバーヤングは3歳のうちは国内で使えるレースが少なかったですから来年どうなるか。個人的には馬券が当たったいい思い出があって好きなフェブラリーSを勝ってもらいたい(笑い)。ひりひりした勝負が続いているので今はそれどころじゃないですけど、ぜひ機会があれば芝も試してみたいです」
※1 坂井はケンタッキーダービーの翌日に自身のSNSで「確かに何度も寄られて接触はありましたし、実際にバランスを崩す場面もありました。しかし外から併せに来てくれたことでフォーエバーヤングは最後まで伸び続けてくれたとも感じました」と直線の攻防について説明。「ゴール前で2着のガファリオン騎手が僕の手綱をつかんだのでは?という声も聞きましたが、その事実はありません。彼も僕もベストを尽くしました」と騒動に終止符を打った。
◇藤田 晋(ふじた・すすむ)1973年(昭48)5月16日生まれ、福井県出身の51歳。青学大卒。98年「サイバーエージェント」を設立し、代表取締役社長に就任。00年に当時史上最年少26歳で東証マザーズ上場を果たした。18年からJリーグFC町田ゼルビアのオーナー。同年に発足した麻雀プロリーグ・Mリーグの初代チェアマンも務める。馬主としては21年フェニックス賞(デュガ3着)が初出走。これまでJRA通算66勝(1日現在)を挙げている。子会社のCygamesが「ウマ娘 プリティーダービー」を運営開発。