「ウマ娘」4周年!新キャラ7人登場 松永幹師「ラッキーライラックを多くの人に知ってほしい」

2025年2月25日 17:00

「ウマ娘」のラッキーライラック(C)Cygames, Inc

 実在する競走馬の名前を冠したキャラクターが活躍するクロスメディアコンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー」(株式会社Cygames)が24日、ゲームの4周年アニバーサリーを迎えた。フェノーメノ、アーモンドアイ、ラッキーライラック、グランアレグリア、ラヴズオンリーユー、クロノジェネシス、カレンブーケドールが新キャラクターとして登場。4周年記念コラボ紙面ではラッキーライラックを管理した松永幹夫師(57)の特別インタビューをお届けする。

 ――ウマ娘のアニメを見たことがあるとうかがいました。
 「競馬を知らなかった方も含めてウマ娘をきっかけに、かなり盛り上がっている印象です。ナイスネイチャの寄付(※)も凄かったんですよね」

 ――いよいよラッキーライラックもウマ娘に登場。馬名の由来にもなっている「五弁のライラックの花(幸運のシンボル)」の柄が印象的な勝負服姿です。
 「(実馬も)尻尾にライラックのリボンを着けていました。一口馬主の会員さんに頂いたものです。メンコもレースではいつも着けていましたね」

 ――ラッキーライラックをひと言で表すならば?
 「本当に美人!」

 ――数々の名牝に携わった先生から見ても?
 「スタイル抜群で、毛色も相まって凄く奇麗でした。バランスのいい馬で、初めて牧場で見た1歳の時に“いかにも走る馬”という雰囲気がありました」

 ――暴君と呼ばれたオルフェーヴルの初年度産駒。性格はどうでしたか?
 「我が強いところはあったけど、それが全ていい方向に出ていました。最初は人がいなくなってからカイバを食べたり繊細なところはありましたけど、基本的に馬房では人懐っこくて可愛いというか、おとなしい馬でしたよ」

 ――松永幹厩舎ではギルデッドミラーも重賞を勝ちました。オルフェーヴル産駒の印象は。
 「当初は気が激しいイメージがありましたけど、ウチの厩舎に来た馬は難しい感じはなかったです。皆、力を常に出してくれる馬ばかりでした。いいイメージしかないです」

 ――現役時代を振り返ってください。2歳時は無傷3連勝で世代の頂点に。
 「デビュー前から調教の動きが抜群でしたから。思った通りに走ってくれたという感じでしたね」

 ――桜花賞で初黒星。1着のアーモンドアイの姉(パンドラズホープ)を管理した経験も。ライバルをどう見ていましたか?
 「“あの馬、強いよ”という、うわさは聞いていましたが、実際に一緒に走って、本当に強い馬が出てきたな、と。桜花賞はこちらが1番人気。アーモンドアイが相手でもやってくれないかなとは思っていましたが…」

 ――同期にあれだけ強い馬がいて、不運だと感じたことは?
 「いえいえ。強い馬と一緒に走れていい経験になったし、上には上がいるんだなと痛感しました。アーモンドアイのラストランのジャパンCは現地で見ました。3冠馬3頭が集まって、素晴らしい競馬でしたね」

 ――しばらく勝ち星から遠ざかりましたが、4歳秋のエリザベス女王杯で1年11カ月ぶりのG1制覇。
 「3歳の夏以降はあまり調子が良くなかったですけど、しっかり休ませたことで復活してくれました。ようやく本来の走りができました」

 ――内ラチ沿いを豪快に伸びて差し切り。騎乗したスミヨン騎手は凱旋門賞で騎乗した父オルフェーヴルが頭をよぎったとか。
 「脚色がこの馬だけ違いましたよね。改めてさすがだな、と」

 ――5歳シーズンはG1を2勝。
 「大阪杯も強かった。ついに完成して、牡馬に交じってもG1レースを勝てるようになったんだと感慨深かったです」

 ――連覇を達成したエリザベス女王杯は馬体重522キロ。これは牝馬のJRA・G1勝利時の最重量記録です。デビュー戦と比較するとなんと42キロ増!
 「トレーニングを積んでどんどん凄い体になっていきました。全体的に大きくなった感じで、骨格に見合う筋肉がついていって。大きい体を生かすことができる、バネが凄かった」

 ――20年は古馬芝G110競走のうち9競走で牝馬がV。“牝馬の時代”と称されました。エリザベス女王杯ではクロノジェネシスやラヴズオンリーユーなど1歳下の名牝たちを撃破。
 「その後、2頭とも大活躍しましたからね。強いメンバー相手に勝ったというのは大きな意味がありました。あの馬たちを負かしたということはラッキーライラックにとって、素晴らしいキャリアの一つになっていると思います」

 ――しのぎを削ったライバルたちとともに、今度はウマ娘を通して競馬の魅力を伝えていく存在に。
 「ウマ娘をきっかけに改めて多くの方々にラッキーライラックのことを知ってもらいたいですし、強かった姿を思い出してもらえれば凄くうれしいです」

 ※NPO法人の引退馬協会では引退馬支援の輪を広げるためにナイスネイチャの誕生日(4月16日)に合わせて寄付金を募る「ナイスネイチャ バースデードネーション」を行っている。17年の初回は19万8500円にとどまったが、「ウマ娘」ブームに比例して寄付金が爆増し、24年には過去最高の7488万9338円の寄付があった。

 《新キャラクターとして登場する7人》
 ▽ラッキーライラック 父オルフェーヴル 母ライラックスアンドレース(母の父フラワーアレイ)15年4月3日生まれ 栗東・松永幹厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績19戦7勝、G1は阪神JF、エリザベス女王杯(19、20年)、大阪杯の4勝 獲得賞金7億9920万8700円 馬名の由来は五弁のライラックの花(幸運のシンボル)。

 ▽アーモンドアイ 15年3月10日生まれ。馬名の意味は「美人とされる顔の目の形」。通算15戦11勝。主な勝ち鞍は牝馬3冠、ジャパンC(18、20年)、ドバイターフ、天皇賞・秋(19、20年)、ヴィクトリアマイル。JRA歴代最多の芝G19勝を挙げた。「パーフェクトホース」と絶賛したルメールはその乗り味を「アクセルを踏むと瞬時にトップギアに入る。フェラーリのよう」と例えた。ラストランの20年ジャパンCでは史上初めて3冠馬3頭が相対した伝説の一戦(2着コントレイル、3着デアリングタクト)を制し、日本一のままターフを去った。

 ▽カレンブーケドール 16年4月23日生まれ。馬名の意味は「冠名+黄金の花束」。勝利の大輪を咲かせてほしいという思いが込められた。通算17戦2勝。主な勝ち鞍はスイートピーS。重賞は未勝利ながら2着6回、3着2回。G1でも19年のオークス、秋華賞、ジャパンCで2着。20年ジャパンCでは3冠馬3頭に次ぐ4着に健闘した。アーモンドアイは国枝栄厩舎の1歳上の先輩で馬房も隣に入ることがあった。国枝師が「どんな条件、どんな競馬、どんな強い相手でも頑張ってきた」と話す通り、デビューから16戦連続で掲示板を外さなかった。

 ▽フェノーメノ 4周年を迎えた「ウマ娘」では、“牝馬の時代”を駆け抜けた名牝の他に、13&14年の天皇賞・春を連覇したフェノーメノも新キャラクターとして発表された。現役時代に“同期”としてしのぎを削ったゴールドシップ、ジェンティルドンナは既に「ウマ娘」としても人気を博しており、活躍が期待される。

 ▽ラヴズオンリーユー 16年3月26日生まれ。馬名の意味は「みんなへの愛を込めて」。通算16戦8勝。主な勝ち鞍はオークス、クイーンエリザベス2世カップ、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ、香港カップ。海外G1年間3勝は最多記録。日本調教馬として初めてブリーダーズカップを制した。米国の年度代表表彰であるエクリプス賞最優秀芝牝馬を受賞。「どこに連れて行っても大丈夫な精神の強さ」(矢作師)を武器に、日本競馬の悲願を成就させた。引退式で川田は「彼女と過ごせた時間は僕の騎手人生の表紙になるもの」と感謝した。

 ▽グランアレグリア 16年1月24日生まれ。馬名の意味は「大歓声」。通算15戦9勝。主な勝ち鞍は桜花賞、安田記念、スプリンターズS、マイルCS(20、21年)、ヴィクトリアマイル。史上初の古馬芝マイルG1完全制覇を達成。タイキシャトル、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイなどを育てた藤沢和雄調教師の定年直前に現れた集大成の傑作。ルメールはその乗り味を「スピードもパワーもあるポルシェ911」と例えた。最強マイラーの地位を確立した現役最終年は距離の壁を越え、2000メートルのG1にも挑戦した。

 ▽クロノジェネシス 16年3月6日生まれ。馬名の意味は「母名+創世記」。通算17戦8勝。主な勝ち鞍は秋華賞、宝塚記念(20、21年)、有馬記念。スピードシンボリ、グラスワンダー以来、牝馬としては史上初のグランプリ3連覇を達成。宝塚記念連覇はゴールドシップ以来、史上2頭目の偉業だった。国内では良馬場以外では4戦4勝と道悪で負け知らず。適性を買われ、21年には父バゴが制した凱旋門賞に挑戦(7着)した。17戦中14戦で手綱を取った北村友は「真面目で一生懸命。ここまで成長力を感じた馬は初めて」と評した。

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