さすがの経験値 松永幹師×武豊が導いたラニ劇的V

2025年4月4日 05:28

2016年のUAEダービーを制したラニと武豊騎手(撮影・平松 さとし)

 【競馬人生劇場・平松さとし】

 今週末、ドバイではドバイワールドCデーが開催される。

 メインのドバイワールドC(G1)では1番人気必至のフォーエバーヤング(牡4、栗東・矢作芳人厩舎)が注目されている。国内外で躍進を続ける同馬は、昨年もドバイでUAEダービー(G2)を制している。このUAEダービーを2016年に勝ったのがラニだ。

 松永幹夫調教師が管理し、武豊騎手が乗ったこの芦毛馬は、他馬に襲いかかろうとするような気性の持ち主だった。

 しかしそこはさすが経験豊富な調教師とジョッキー。ドバイでも見事な対応を見せた。

 武豊騎手はパドックへ向かう馬道でラニに騎乗すると、そのままパドックは一瞬通過するだけで馬場入り。返し馬をごく軽めに終わらせると、ゲート裏の待避所では他馬から距離を置き、1頭で落ち着かせた。

 それでもアクシデントに見舞われた。前扉が開くとあろうことかつまずいたのだ。

 しかし、これもベテランが冷静に対処した。

 「スマートファルコン(12年ドバイワールドC出走)もそうだったけど、初めてドバイで走る馬がつまずくのはよくあることなんです。だからそういう心づもりをしていたので、慌てませんでした」

 後方からの競馬になったがじっと構えていられた理由を武豊騎手はそう述べた。

 直線、前との差を詰めたラニだが、ラスト1Fを切っても先頭との差はまだ2馬身ほどあった。届かないか!?と思えた次の瞬間、レジェンドがムチを右手から左手に持ち替えた。するとそれが合図だったかのようにラニのエンジンに火が付いた。結果、先頭でゴールを駆け抜けると、レース後、鞍上が言った。

 「次はケンタッキーダービーですね!」

 実際、ラニはこの後、米国3冠に出走するのだが、それはまた別のお話。機会があればまた記そう。

 さて、そんな松永幹夫調教師と武豊騎手が今年のUAEダービーに送り込むのはドラゴン。未来へつながるどんな結果が待っているのか。注目したい。(フリーライター)

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