【NHKマイルC】アドマイヤズーム 無理せず坂路追い手応え4F52秒9 友道師「スイッチが入った」
2025年5月8日 05:30 2歳王者は3歳でもマイル王に君臨する。「第30回NHKマイルC」(11日、東京)の最終追い切りが7日、東西トレセンで行われた。昨年末の朝日杯FSで2馬身半差の完勝を収めたアドマイヤズームは栗東坂路で万全の仕上がりをアピール。前哨戦から型通りにコンディションを向上させ、G1・2勝目を狙う。同レースは8日に出走馬が確定。9日に枠順が決まる。
前日までの雨で重馬場となった坂路のど真ん中を加速ラップで駆け抜けた2歳王者には風格、躍動感があった。15秒1→13秒5→12秒3→12秒0。全体時計はこれまでのレース当週の坂路追いでは最速の4F(800メートル)52秒9。アドマイヤズームの最終追いを見守った友道師は「輸送もあるので無理せず、息を整える程度に乗った。動きも馬体も2歳時から成長したと思う」。当レースを2勝している名伯楽の視線の先で、父モーリス譲りの鹿毛の馬体が陽光に輝いていた。
初勝利から即参戦となった昨年12月の朝日杯FSは、ミュージアムマイル以下に2馬身半差の完勝。その2着馬が先月の皐月賞を制した。指揮官は「朝日杯の時もあの馬が強いと思っていたので皐月賞でどんな競馬をするかと思って見ていたが、改めてレベルが高かったと実感した」と自信を深めた様子。同レースの3着ランスオブカオス、5着アルテヴェローチェが今回も人気の一角で、力関係では優位に立つ。
川田が「返し馬の段階からもっと良くなるのは次だなという雰囲気でした」と振り返った今年初戦のニュージーランドTは2着。前哨戦仕上げからの上昇カーブを思い描いていたトレーナーは「予定通り、1回使ってスイッチが入って良くなってきた」と満足げに調整過程を解説する。中3週ながら、1日の1週前追いではCWコースで自己ベストタイの5F65秒9~1F10秒7の猛時計。「在厩調整で1週前は荻野極騎手でしっかり追い切った。前走の疲れもなく順調に仕上がった」。前走とは馬の覇気が明らかに違う。
友道師は同馬のデビュー前から、厩舎の先輩アドマイヤマーズ(18年朝日杯FS、19年NHKマイルC、同香港マイルV)を引き合いに「同じぐらいの期待度」と将来を嘱望してきた。「ここを勝って、次の大きなところに行きたい。マーズのように年末は香港に行ければいいなと思っている」。2歳王者は3歳マイル統一王者へ。その先にはアジア王者さえ見据えている。同期との府中決戦は通過点だった、と振り返る3歳シーズンになるかもしれない。
≪朝日杯勝ち馬 出走10頭で3勝≫前年の朝日杯FS勝ち馬は過去10頭が出走し、厩舎の先輩にあたる19年アドマイヤマーズを含む3頭が勝利している。友道師は15年クラリティスカイと合わせて既に同レース2勝。3勝目なら松田国英元調教師(01年クロフネ、04年キングカメハメハ、10年ダノンシャンティ)に並んで歴代最多タイとなる。また、川田は22年ダノンスコーピオン、24年ジャンタルマンタルで2勝。騎手の連覇ならM・デムーロ(19、20年)に続く2人目の記録だ。