【北九州記念】ヤマニンアルリフラ 初挑戦で重賞初制覇 斉藤崇師&団野の師弟コンビ笑顔満開
2025年7月7日 05:28 サマースプリントシリーズ第2戦「第60回北九州記念」が6日、小倉競馬場で行われ、単勝5・7倍の1番人気だったヤマニンアルリフラが中団待機から鋭く伸びて差し切りV。2勝クラス、3勝クラスに続く3連勝で重賞初制覇を飾った。当レースの1番人気Vは08年スリープレスナイト以来、17年ぶり。斉藤崇史師(42)、団野大成(25)の師弟コンビは22年中日新聞杯(キラーアビリティ)、23年福島牝馬S(ステラリア)に続く3度目のJRA重賞制覇となった。
最高気温34度、真夏の日差しが照りつけるターフで重賞の壁を突き破った。ヤマニンアルリフラが初の重賞舞台で堂々とした立ち回り。ラスト1Fを過ぎて先頭に立つと外から迫る昨年2着馬ヨシノイースターを半馬身差で振り切り、3連勝のゴールに飛び込んだ。前走からコンビ継続で勝利に導いた団野は「体重はプラス14キロでも具合が良かったし、ある程度、自信を持って臨めて、思った通り乗れました。直線までスムーズで前が空いた時に突き抜けるな、という手応え。期待通りというか、それ以上のパフォーマンスでした」と満面の笑みを浮かべた。
五分のスタートから馬任せで道中は10番手追走。先行争いで行き切ったクラスペディアが前半3Fを32秒5で通過する締まった流れの中、じっと仕掛けるタイミングをうかがった。3角過ぎから促してポジションを上げ、馬群の外めに進路を取って直線へ。くっきり視界が開け、最後は手応え通りの末脚で突き抜けた。
馬体重は過去最高の496キロ。昨年の年明けデビューから1年半の間に42キロも増えた。団野は「去年の年末からの成長力がもの凄くて驚かされています。所属厩舎で普段から調教に携わらせてもらっている馬で勝たせていただいて良かったです」と喜びをかみしめる。師匠・斉藤崇師も「この中間、どんどん体が増えて立派になり、力をつけているなと感じました」と目を細めるように4歳夏を迎え、たくましさを増した体が充実ぶりを物語っている。
母ヤマニンパピオネ(4勝)は現役時代、かつて斉藤崇師が調教助手を務めた松永幹厩舎に在籍した。トレーナーにとってはゆかりの血統で、現役オープン馬で3歳上の半兄ヤマニンサンパ、同じく1歳上の半兄で昨夏この週に小倉でプロキオンSを制したヤマニンウルスも同厩舎。「サンパにしてもウルスにしても、このきょうだいの男馬はみんな弱いところがあるんです。ただ、年を重ねるにつれて、しっかりしてくる。アルリフラはまだ4歳だし、これからが楽しみですね」と期待を膨らませる。
検量室前に引き揚げてくると水をかけてもらい、しっとりした芦毛の馬体がきらきら輝いた。厩舎2頭出しで4着だった青鹿毛の半姉ヤマニンアンフィルとともにウイナーズサークルへ。きょうだい2頭で口取り写真に納まった。斉藤崇師は「同じ馬主さんですから。せっかくなので一緒に撮ってもらいました」と優しいまなざしで見つめる。
レース直後だけに今後については「まだ分からない」と前置きした上で「アイビスSD(8月3日、新潟)は特殊な舞台ですしね。様子を見て大丈夫そうならCBC賞(8月10日、中京)かも。ただ、負担重量(ハンデ)のこともあるので」とじっくり検討する方針。新星候補から新星へ。芝スプリント戦線に楽しみな存在が現れた。
○…芝レースの古馬重賞で4歳馬の勢いが止まらない。北九州記念に出走した4歳馬2頭のうち、ヤマニンアルリフラがV。これで5月17日の新潟大賞典を制したシリウスコルトから4歳馬は芝重賞で10連勝を飾った。ハイレベル世代が夏の芝重賞戦線を席巻する。
ヤマニンアルリフラ 父イスラボニータ 母ヤマニンパピオネ(母の父スウェプトオーヴァーボード)21年5月27日生まれ 牡4歳 栗東・斉藤崇厩舎所属 馬主・土井肇氏 生産者・北海道新冠町の錦岡牧場 戦績13戦4勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億399万5000円 馬名の由来は冠名+旅(アラビア語)。