【チャレンジC】オールナット 重賞初制覇! モレイラ騎乗初日から剛腕発揮でJRA重賞今年5勝目
2025年9月14日 05:30 暮れの阪神開催で定着していた中距離重賞「第76回チャレンジC」が秋のハンデ戦に番組変更され、13日に阪神競馬場で行われた。G12勝の名牝ショウナンパンドラを姉に持つ2番人気オールナットがインコースから抜け出し、重賞初制覇。短期免許で来日したジョアン・モレイラ(41)が騎乗初日から、その剛腕ぶりを遺憾なく発揮した。鞍上のJRA重賞制覇は春の皐月賞(ミュージアムマイル)以来で今年早くも5勝目となった。
ハンデ戦らしい密集馬群の内から抜け出したのは、マジックマン駆るオールナットだった。大歓声が感嘆交じりのどよめきに変わる。“やっぱり、モレイラだ”。大接戦の2着争いを尻目に1馬身突き抜けた。「少し渋滞したが、残り200メートルでスペースが見つかってからは素晴らしい反応。いい勝ち方だったよ」。残暑厳しい仁川で、鞍上は涼しげな表情で振り返った。
これまで3度の重賞で全て着外だったオールナットの勝因は3つ。まずは巧みなコース取り。外めの11番枠スタートも、初角までにスルスルと内ラチ沿いを確保。中団後方のインで脚をため、開幕2週目のトラックバイアスを最大限に生かした。「道中はリズム良く手応え良く運べた。内の満足いくポジションで直線を迎えられた」。メンバー最速タイとなる上がり3F34秒5の末脚を引き出した。
レース前にも勝利へのポイントがあった。テンションが上がりやすい気性を考慮し、丁寧な返し馬を施した。「2000メートルは発走地点が観客の前。落ち着かせることを意識した」。見守った高野師も「馬の気性だけを伝えていた。レースも言うことがないが、ゲートまでの持っていき方が素晴らしかった」と最敬礼。マジックマンが馬の心を掌握して潜在能力を引き出した。
そして最大の勝因はオールナット自身の進化だ。半姉にショウナンパンドラがいる良血で、伯父ステイゴールドを含め近親馬は成長力にたける。指揮官は「難しい馬だが、牧場のスタッフ、担当者が立派な仕事をしてくれた。ようやく、こもっていた力を形として出してくれた」と感無量。初めての重賞タイトルの歓喜に浸った上で、「ここが完成であってほしくない。もっと先、高みを目指せる馬だと思っている」と大舞台を見据える。伸び悩んだ“原石”が4歳秋、ダイヤモンドのような輝きを放ち始めた。
オールナット 父サトノダイヤモンド 母キューティゴールド(母の父フレンチデピュティ)21年2月17日生まれ 牡4歳 栗東・高野厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道白老町の社台コーポレーション白老ファーム 戦績12戦5勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億523万6000円 馬名の由来は有色な鮮黄色のダイヤモンドの名前。父名、母名より連想。