【セントライト記念】ミュージアムマイル 貫禄V テン乗り戸崎と息ピッタリ 天皇賞・秋へ視界良好
2025年9月16日 05:30 クラシックホースは強かった。菊花賞トライアル「第79回セントライト記念」は15日、中山競馬場で行われた。1番人気の皐月賞馬ミュージアムマイルが貫禄の差し切りで重賞2勝目。天皇賞・秋(11月2日、東京)を見据え、文句なしの秋始動戦を飾った。2着ヤマニンブークリエ、3着レッドバンデまでが菊花賞(10月26日、京都)への優先出走権を獲得した。
皐月賞馬が貫禄を見せた。夏の上がり馬たちが苦しそうに引き揚げてくる中、ミュージアムマイルは既に平静を取り戻していた。前日、仏G3を制した同世代のダービー馬クロワデュノールに続く秋始動戦V。初コンビの戸崎は「皐月賞馬というところで責任を感じていた。しっかりと馬が反応してくれました」と安心したような表情が見えた。
焦らなかった。直線の急坂には絶対的な自信がある。向正面で人気の一角ファイアンクランツが外を押し上げる。それでも不動の構え。4角は距離ロスをいとわず大外を進出。馬のポテンシャルを信じ切った正攻法。鞍上の信頼に応えるように、この日も中山の急坂をパワフルに駆け上がった。戸崎は「手応えがあったし、ある程度外を回っても力で押し切ってくれると思っていた。周りに影響されず、どんな展開にも対応できる強さがありますね」と称えた。
皐月賞馬ゆえのプレッシャーもあった。春始動戦の弥生賞ディープ記念は4着に敗れ、距離延長で挑んだ前走ダービーも6着。高柳大師は喜びより安心感が勝っていた。「弥生賞のことがあったので休み明けは不安でした。それでも仕上がっていたし、(戸崎も)調教に乗ってくれていた。強い勝ち方だったし、まずはホッとしています」。皐月賞馬のセントライト記念勝利は6頭目。歴代王者に恥じない始動戦だった。
皐月賞で下した同じサンデーレーシング所有のクロワデュノールは凱旋門賞の前哨戦プランスドランジュ賞を勝った。こちらも大目標の天皇賞・秋へ向け、最高のスタートを切った。指揮官は「実戦を使えばもう一段階良くなるタイプ。不安がないわけじゃないけど、ここを勝ったので自信を持って臨めれば」と、来たる古馬との初対戦に力を込める。秋の訪れを告げるクラシックホースたちの輝き。強力3歳牡馬が国内外を席巻する。
ミュージアムマイル 父リオンディーズ 母ミュージアムヒル(母の父ハーツクライ)22年1月10日生まれ 牡3歳 栗東・高柳大厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績8戦4勝(重賞2勝目) 総獲得賞金3億3741万9000円 馬名の由来はニューヨーク、マンハッタンの5番街にある通り。