【アイルランドT】ボンドガール 気合満点ラスト1F11秒9“合格点” 手塚久師「あとは運だけ」

2025年10月9日 05:30

単走で追い切るボンドガール(撮影・村上 大輔)

 3日間で3重賞が開催される今週。日曜東京メインの牝馬限定G2「第1回アイルランドトロフィー」は8日、東西トレセンで最終追い切りが行われた。美浦ではボンドガールが気合満点。昨年の秋華賞など重賞2着6回の“最強の1勝馬”が、悲願の初タイトル&初代女王に向けて青写真通りの動きを見せた。土曜東京メインの2歳G3「第11回サウジアラビアロイヤルC」では、阪神新馬戦Vのチュウワカーネギーが凱旋門賞帰りの北村友一(39)を背にパワフルな走りを披露。新馬→重賞の無傷2連勝でエリート街道に乗る。

 アイルランドTの主役候補ボンドガール。最終追い切りを前に手塚久師が本音!?で動きを予告した。

 「調教はハミを取って、頭を上げちゃって良くは見せないので…。(5Fで)68秒台、ラスト(1F)は12秒を切れないと思う」

 果たせるか――。Wコースで単走で発進し、あふれんばかりの前進気勢でピッチを上げる。指揮官の見立て通り、掛かり気味で頭も上げて見栄えは良くない。それでも、だ。脚色は全く衰えず、気合をつけた1F付近でグンと伸びた。6F83秒1(5F67秒5)~1F11秒9。5Fもほぼ想定通りなら1Fは合格ラインの“11秒台”を計時した。

 「いいんじゃないですかね。少なくとも関屋記念(2着同着)ぐらいは走れます」

 笑顔が広がったのも納得だ。その特性を考慮して坂路追いを主体にした時期もあったが、前走に続いてWコースでしっかりやれた。関屋記念の最終追いが82秒3~1F11秒9(強め)。長めから時計を出せている上に1F11秒台。高レベルで出来は維持できている。

 関屋記念は収穫大の2着惜敗だった。ハンデ56キロを背負いながら、馬の間を割って上がり3F32秒8と鋭く伸びた。燃え過ぎる気性を考え、レース直前は返し馬をせず、ゲートまで歩いて向かう工夫も実った。

 「馬混みで折り合えたのはかなり良かった。ジョッキー(ルメール)もうまく乗ってくれた。返し馬をしなかったのもうまくいったので、今回もしないで挑みます。前走の感じなら1800メートルも大丈夫だと思う」

 昨秋までの府中牝馬Sを引き継いだアイルランドTはG2別定戦。これが強烈な追い風になる。重賞2着6回で総賞金は1億5000万円を超えながら、重賞勝ちがないため別定55キロで挑めるのだ。関屋記念は勝ち馬カナテープの方が2キロ軽かったが、今回は同じ55キロ。同師は「条件はいいですよね。別定戦になるのはいいと思う。あとは運だけです」と悲願初タイトルを祈った。昨秋の秋華賞2着など、底力は折り紙付き。初代女王にふさわしい「最強の1勝馬」だ。

 ≪G3勝ちは55キロで出走可≫昨秋までの府中牝馬Sを引き継いだアイルランドTの別定重量は「3歳53キロ、4歳以上55キロ」が基本。「昨年10月5日以降G11着馬2キロ増、G21着馬1キロ増、同4日以前G11着馬1キロ増(2歳戦除く)」と定められ、今年4月のG2阪神牝馬Sを制したサフィラは1キロ増の56キロとなる。今年6月に東京で行われた「第73回府中牝馬S」はレース名こそ府中牝馬Sだったが、昨年まで6月阪神で主に施行されていたマーメイドSを引き継いだものでG3ハンデ戦で行われた。今年の優勝馬はセキトバイースト。同馬はアイルランドTにも出走予定だが、G3勝ちは重量加算がないため55キロで出走できる。

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