【天皇賞・秋】メイショウタバル万全仕上げ! 武豊が秋天8勝&連覇で恩返し誓う「先代オーナーのために」
2025年10月30日 05:30 秋の芝中距離最強馬決定戦「第172回天皇賞・秋」の最終追い切りが29日、東西トレセンで行われた。今年の宝塚記念を制したメイショウタバルはCWコースで切れのある動きを披露し万全の仕上がりをアピール。コンビを組む武豊(56)が勝てば、保田隆芳元騎手を抜いて歴代単独最多の秋天8勝目となる。鞍上は8月29日に膵臓(すいぞう)がんのため亡くなった「メイショウ」馬主・松本好雄さんのために、全力プレーを誓った。同レースは30日に出走馬と枠順が確定する。
グランプリホースとして臨む初戦も普段通りを崩さなかった。メイショウタバルの最終追いはCWコースで単走。“気分良く”のテーマは変わらない。道中なだめながら、しまいだけ伸ばす。パワフルな動きで一気に加速すると、ラスト2F(400メートル)は11秒6→11秒1の好時計をマーク。石橋師は「宝塚記念の当週のイメージで乗ってくれと指示した。凄くうまくいったよ」と笑みをこぼした。
逃げ切った宝塚記念から4カ月半ぶりの実戦となる。指揮官が「休み明けは気にしていない」と話す通り、戦績は鉄砲巧者。仕上がりに抜かりはなく、焦点は4歳秋を迎えての進化にある。84年以降、7頭しかいない4年連続平地G1勝利を達成した父ゴールドシップ譲りの成長力で「一回り体つきが大きくなっている」と目を細めた。
担当の上籠助手も「地に足が着いて歩くようになった。周りの人からも“こんな馬やったっけ?”と言われる」と進化を証言。3歳時は予定通りの日程を踏めず、ダービーは左後肢の挫石で出走取り消しになった。顔を見て、脚を見て、胸をなで下ろす毎日。「乗っていてボロをする時もピタッと止める。人間だって動きながら、しろって言われたら嫌だから(笑い)。わがままさせているかもしれないが、これが僕のやり方」。タバルは愛情に応え、G1馬になった。
さて、天皇賞・秋を逃げ切った馬は87年ニッポーテイオーが最後(91年プレクラスニーは2位入線から繰り上げV)。天皇賞・秋歴代最多タイ7勝の“盾男”武豊は「逃げると決まっているわけではない」と前置きしながら「逃げ切る馬を生で実際に見たことがない。それだけ厳しい」と冷静に分析する。それでも「思った以上のパフォーマンスを出す馬」と相棒の型破りな強さに望みを託す。
鞍上は今秋G1で2着が2回。「1着が欲しい。特に今回はメイショウタバルという馬で挑むので、先代のオーナーのためにも勝ちたい」。8月29日に亡くなった松本好雄さんに恩返しの勝利を届ける覚悟だ。石橋師も思いは同じ。「タバルを信じて、豊君に任せて、いい結果が出るように信じたい」と祈る。縁を力に変え、正々堂々と王道を歩む秋。メイショウさんが天国から見守っている。
≪タマモ&イクイ直行V≫天皇賞・秋が芝2000メートル戦になった84年以降、同年の宝塚記念勝ち馬は20頭が参戦し【4・2・2・12】の成績。88年タマモクロス、00年テイエムオペラオー、15年ラブリーデイ、23年イクイノックスの4頭が勝利している。そのうち、タマモとイクイの2頭はメイショウタバルと同じ直行のローテで制した。


