【マイルCS】ジャンタルマンタル“由伸名言魂”で万全仕上げ! 高野師「偉業を達成してくれる」
2025年11月20日 05:30 積み重ねた稽古が線でつながった。秋のマイル王決定戦「第42回マイルCS」の最終追い切りが19日、東西トレセンで行われた。春秋マイルG1連覇が懸かるジャンタルマンタルは栗東坂路でしまい重点にシャープな動き。1週前、そして最後のひと追いも陣営が思い描いた通りクリアし、万全の状態に仕上がった。休み明け2走目で本番に全力投球の構えだ。
派手なアクションを封印する静かな最終追いだった。ジャンタルマンタルは高野厩舎流の坂路2本乗り。厩舎スタッフを背に1本目を4F(800メートル)73秒0で駆け上がり、2本目にスタートした。最初の1F(200メートル)を15秒3で入るとスムーズに加速。4F54秒1の全体時計が示す通り、しまい重点でラスト1Fを11秒8でまとめた。オーバーワークを避けつつ適度に負荷をかける絶妙なサジ加減。見守った高野師は「攻め過ぎず、軽過ぎることなく整える程度。全体時計は54秒くらいのイメージで、しまいの反応を確かめました。素晴らしい動き」とうなずいた。
富士Sを叩き、今秋2戦目。中間は動きの質を重視した。1週前に坂路で強めに追われ4F53秒2~1F12秒0。あのひと追いがスパイスになった。調整パターンについて高野師は「前哨戦を使っているので穏やかに、心身のバランスを整えながら進めました」と説明。イメージ通り上昇カーブを描いているからこそ、もうハードな調教は必要なかった。
デビュー3連勝で一昨年の朝日杯FSを制し、昨年NHKマイルC、今年の安田記念を合わせてG1・3勝。富士Sは敗れたとはいえ勝ち馬より2キロ重い別定59キロを背負っての半馬身差。国内マイル路線屈指の実力は戦歴が物語っている。「ここを勝つために前哨戦に使いました。結果は2着でも4角を回ってからの(走りの)感触が良かったし、いいステップになりました」と収穫を強調する。
前走後は東京競馬場から直接、宮城県の山元トレセンに放牧。6日に栗東トレセンに帰厩した。「牧場でもリラックスして、しっかりケアをしたことでメンタル面が整った。はち切れんばかりの筋肉でアスリート体形になりました」と充実ぶりをアピールした。
史上9頭目の春秋マイルG1連覇を目指す戦い。高野師は「山本由伸投手が言った“Losing isn,t an option”(負けるという選択肢はありません)という言葉を厩舎としても心がけて、やってきました。偉業を達成してくれると思っています」と熱い口調で締めた。秋も頂点へ――。携わる者全てが、この思いで一つになっている。
≪同一年春秋制覇は8頭≫同一年の安田記念&マイルCS制覇は過去8頭が達成。今年、安田記念を制したジャンタルマンタルが勝てば20年グランアレグリア以来、5年ぶり9頭目の春秋マイルG1制覇となる。また、朝日杯FS、NHKマイルC、安田記念と合わせ、牡馬が出走できる芝1600メートルのJRA・G1・4競走完全制覇も懸かっている。



