麻雀と同じ「すぐに仲良くなれる」競馬大好きな永井孝典プロ

2025年11月27日 05:10

香港シャティン競馬場で観戦を楽しむ永井孝典プロ(本人提供)

 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は栗東取材班の田井秀一(32)が担当する。永井孝典さん(39)は競技麻雀の国内最高峰Mリーグで活躍するプロ選手で、毎週SNSで予想を公開するほどの競馬好き。その競馬愛について語ってもらった。

 麻雀のプロスポーツ化を目的として発足したMリーグ。8シーズン目を迎えた今季、大車輪の活躍を見せているのが永井孝典プロ。昨季下位に沈んだEX風林火山のドラフト会議指名選手オーディションを勝ち抜き、Mリーガーに。16年勤続した住友精化を退職して臨んだ決意のルーキーイヤーは、個人スコアで40人中堂々の首位(24日現在)。「数カ月前までただの会社員だったのに」と本人もどこか夢見心地だが、2位と好調のチームの原動力になっている。

 Mリーグのシンデレラボーイは大の競馬好き。ディープインパクトが社会現象化していた大学時代、テニスサークルの仲間の影響で興味を持った。初の生観戦は06年菊花賞(ソングオブウインド)。以降、国内にとどまらず、香港シャティン競馬場にも足を運んだ。「ライブ感が好きでよく現地に行きました。初めて会う人でも一緒に競馬をすれば、すぐに仲良くなれるのが魅力。麻雀も卓を囲めば仲が深まる。そういった意味で凄く似ていると思います」。

 思い出の馬はメイショウサムソン。「メイショウさんの馬が好きで、零細牧場や人とのつながりを大切にする…という松本好雄さんの生き方に引かれました」と目を輝かせる。会社員時代は冠名メイショウの由来(明石の松本)でもある兵庫県明石市に居住。オーナーと直接の面識はなかったが、知人の伝(つて)で馬主席に招待されたこともあったという。また、一口馬主として出資したキタノコマンドールも思い入れ深い1頭。「皐月賞(5着)で出走権を獲ってダービーまで行ってくれて。めちゃくちゃ楽しい経験をさせてもらいました」と思い出に浸る。

 ところで、記者が永井プロにどうしても聞きたかったのが、その勝負強さのゆえん。競馬予想しかり、麻雀の打牌選択も最適解=正解になるとは限らない。運にも左右される結果との向き合い方を問うと、「確かに突き詰めると運の話になるかもしれませんが、たとえ微差であっても勝つ確率を高めるために正しい選択をし続けることが大切。そのための研究を麻雀プロの誰もが毎日何時間もしていますし、自分も日々それを怠らないことだと思います」。予想が外れるとすぐ何かのせいにしようとする卑小な人間は、身が引き締まる思いがした。

 27日もMリーグに出場予定(ABEMAで19時から放送)の永井プロ。言葉に熱がこもったのは、競馬界と麻雀界の交流の話題だった。というのも、Mリーグを全試合生中継するABEMAでは、麻雀好きの現役プロ野球選手が対局する正月特番「プロ野球 新春麻雀交流戦」が2年連続で放送されている。騎手や調教師にも麻雀好きが多いことを伝えると、「競馬バージョンもぜひやってほしいですね!そのためなら何でもやります」と腕をまくった。Mリーグのチェアマンはフォーエバーヤングの馬主でおなじみ藤田晋さん。社長、ぜひご検討お願いします!

 ◇永井 孝典(ながい・こうすけ)1986年(昭61)8月10日生まれ、愛知県出身の39歳。近大卒。最高位戦日本プロ麻雀協会関西本部所属。Mリーグ25年シーズンからEX風林火山に加入した。対局前の勝負飯はカツ丼。趣味は野球観戦で、大の中日ファン。会心の馬券的中はモズアスコットが優勝した20年フェブラリーS(3連単4649・2倍)。

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