情勢不安のドバイで最強アーモンドアイの記憶
2026年3月20日 05:27 【競馬人生劇場・平松さとし】G1を23勝するなどの実績を残した国枝栄調教師が引退した。厩舎初のG1馬ブラックホークや牝馬3冠馬アパパネなど、数々の名馬を育てた伯楽だが、最高傑作は何といってもアーモンドアイだろう。
18年の3冠牝馬は、その後、天皇賞・秋(G1)とジャパンC(G1)をそれぞれ2度制するなど、JRA所属馬として史上最多の平地G19勝をマーク。その活躍は国内にとどまらず、19年にはUAE(アラブ首長国連邦)へ遠征し、ドバイターフ(G1)も制した。
メイダン競馬場の芝1800メートルに挑んだ前年のJRA年度代表馬はジャパンC以来の実戦にもかかわらず、危なげなく勝利した。この時のメンバーレベルは非常に高かった。2着は秋華賞(G1)勝ち馬で、過去2度のドバイターフで1、2着の実績があったヴィブロス。3着のイギリス馬ロードグリッターズは、その後ロイヤルアスコット開催のクイーンアンS(G1)を制覇。4着は同じく秋華賞馬で、約4カ月後にイギリスでナッソーS(G1)を勝つディアドラ。また、5着のウィズアウトパロールは前年のロイヤルアスコットでセントジェームズパレスS(G1)を制していた。
ちなみに、この5着馬を管理していたのはJ・ゴスデン調教師。17、18年に凱旋門賞(G1)を連覇したエネイブルを育てたイギリスの伯楽は、レース後に次のように語っている。
「馬場が硬ければ、アーモンドアイはエネイブルを破るかもしれないね」
そんなドバイでのアーモンドアイだが、実はレース以外の場面で思わぬ危機に見舞われていた。最終追い切りで主戦のクリストフ・ルメール騎手を背に馬場入りしたアーモンドアイは突然Uターンし、リーディングジョッキーを芝の上に振り落としたのだ。結果的に放馬はせず、すぐに乗り直せたため大事には至らなかったが、最悪の事態を思えば冷や汗ものだった。
ご存じの通り、今年は中東情勢が不安定だが、無事に開催されることを願いたい。 (フリーライター)
