競馬界随一の趣味人、柴田善臣…最大の趣味が騎乗 41年間の騎手人生はまぶしいほど輝いていた

2026年9月16日 05:05

93年安田記念、ヤマニンゼファーでG1初勝利を挙げ、鞍上の柴田善臣騎手はゴールの瞬間ガッツポーズ

 JRAは15日、現役最年長騎手の柴田善臣(60=美浦・フリー)から騎手免許の取り消し申請があり、18日付で騎手免許を取り消すことを発表した。JRA通算2341勝(うちG1・9勝)。右肩の負傷により今年4月から長期休養に入り、7月30日に60歳の誕生日を迎えたが、JRA所属としては初の“還暦騎乗”はかなわなかった。16日、引退会見が開かれる。なお、引退後はJRAアドバイザーに就任する予定。引退式は11月1日に東京競馬場で行われる。

 【記者フリートーク 中央競馬担当・梅崎 晴光】趣味にまつわる名言は不思議なほど心に収まる。「趣味は幸福を担う多くの副産物を生み出してくれる」(米国で活動したジョセフ・マーフィー牧師)、「趣味は人生のオアシスである」(経営コンサルタントのパイオニア・酒井正敬氏)。最も心に収まる言葉は「競馬が一番の趣味」(柴田善臣)。

 1級船舶免許も取得したほどの船釣りファン、ドッグブリーダーとしても知られるペット好き、30台以上所有したほどのカーマニア、ワインコレクター…。競馬界随一の趣味人で知られる柴田善だが、何よりも面白いのがレース騎乗。一番の趣味に夢中になって年を取ることも忘れ、気がつけばJRA唯一の還暦ジョッキーになっていた。「俺の孫がね、(競馬中継を放送する)テレビ画面を指さして“じいじ!じいじ!”って声を張り上げているらしいんだ。じいじも頑張らないとね」。でも、趣味だからライバルを押しのけてでも勝とうとする気はない。レースぶりはいつもきれい。フェアプレー賞の常連だった。JRA・G1通算10勝が懸かった19年ヴィクトリアマイル直前のインタビュー。「えっ、記録懸かってるの?そういう数字や記録にギラギラしていないから駄目なのかな」と涼しい顔で答えた。

 趣味には立場や年齢差を超える力がある。「自分の子供よりも若い騎手が増えているので参っちゃうけど、馬に乗ったら一緒だよ」。柴田善が塗り替えるまでJRA最年長勝利記録を持っていた岡部幸雄氏も「馬の上にいるヨシトミは年齢を感じさせない。騎乗フォームが全く崩れていないから。全ての騎手が見習うべきだ」と絶賛した。加齢とともに衰えていく体を鍛えようと筋トレに汗を流したが、趣味のためなら苦痛にもならない。落馬事故でケガを負うたびに根気強くリハビリを重ねて復帰してきた。競馬場に三度の飯より好きなことが待っていたからだ。

 趣味は人生を輝かせるという。わが子より若い記者に交ざって記者活動を続けるシニア世代にとって、希代の趣味人は希望の星。41年間の騎手人生はまぶしいほど輝いていた。

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