ほんとに“スーパー”ホーネット/安田記念

2008年6月6日 06:00

坂路で追い切るスーパーホーネット

 安田記念の木曜追い切りが5日、行われた。関西馬スーパーホーネットは滞在中の美浦で最終追い。楽な手応えでパートナーに2馬身先着し、最高潮ムードだ。美浦滞在が功を奏し、前走で減った体も回復。レース当日は美浦―東京の“短距離輸送”で済むだけに悲願G1制覇の夢が膨らむ。

 糸を引くような伸び。異例の美浦滞在で万全を期したスーパーホーネットが絶好の動きだ。栗東から駆けつけた藤岡佑を背に坂路1本勝負。僚馬ランドジーニアス(3歳未勝利)を3馬身後ろから追走。残り1Fで並びかけ、鞍上が何のアクションも起こさず、スーッと2馬身先着したところがゴール地点。4F50秒8~ラスト1F12秒3。さすがの瞬発力だ。美浦初登場の藤岡佑は「栗東の時と同じ感触。順調にきているのが一番ですね」と穏やかな笑顔で切り出した。
 動きを見守った矢作師はキリリと唇を引き締め、報道陣の輪に入った。京王杯SCを勝った後、栗東に戻らず美浦入り。大きな賭けだった。同師は「先週(5月30日)ある程度追っているし、ホーネットには今週競馬ってことが分かればOKだった。(藤岡)佑介には4F51秒台と伝えてあったので時計もピッタリ。昔なら中2週で2本は追えなかったのに、ここまで成長してくれた。美浦の多くの関係者から歓迎を受けたし、その方々のためにも頑張りたい」と決意を語った。
 追い切り後の計量では472キロ。栗東―東京の長距離輸送で前走時462キロに減った体は完全に戻った。美浦の環境にすっかり溶け込み、食欲も旺盛。美浦滞在の賭けは吉と出た。同師は「輸送に敏感な馬なので東京までの短い輸送でも当日は460キロ台だと思うが…。G1なのでギリギリで仕上げた。前走ぐらいの体重で出したい。といって、今の体は細いと思わない。つくところにしっかり筋肉がつき、研ぎ澄まされた」とキッパリ。週初め、親交の深い元競輪選手の松本整氏がホーネットの写真を見て「アスリートの体ですね」と驚嘆したという。完成期を迎えたといっていい。
 昨秋マイルCS(2着)は王者ダイワメジャーに首差まで迫り、京王杯SCは3F33秒0の鬼脚で重賞2勝目。矢作師&藤岡佑の悲願G1はあと一歩に迫っている。「昨秋は体調の良さと勢いで頑張っていたと思っていたが、ここまでくればもう本物。折り合いもつくし気性も成長した。あとは信じて乗るだけです」と藤岡佑は力強く誓った。日本代表として、譲れないホーネットのG1・8度目の挑戦だ。

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2008年6月6日のニュース