【日本ダービー】今週も藤沢和師&ルメール!ド迫力のレイデオロ
2017年5月25日 05:30 藤沢和厩舎の玄関脇には英国の競馬風景を描いた木の貼り絵が開業時から飾られている。29年もの歳月にさらされ、いささか色あせた木製アートを背に藤沢和師が穏やかな笑みを浮かべた。「随分応援してもらってきたのでそろそろ何とかしないとな。あまり先はないし…」。定年を5年後に控えた師にとってレイデオロは現役最多となるダービー19頭目の挑戦。「ひょっとするかも…」。真新しい木貼り絵の前で色めき立ったのは開業2年目の初挑戦(89年ロンドンボーイ=22着)だった。「シンボリクリスエス(02年、2着)が良くなるのは秋だって、武豊が言うんだ」。不機嫌そうに口を開いたのもこの木貼り絵の前。ダービーの難しさを知り尽くす師は最大のチャンスにも慎重な姿勢を崩さない。
だが、Wコースで見せた古馬のようなレイデオロの走りはダービーを勝てる域に達している。落ち着き払ったフットワークでレッドレイヴン(7歳オープン)を追走。直線で主戦・ルメールがハミを掛けた瞬間に、重心を下げて鋼のような後肢が伸縮する。馬なりで並びかけた。ゴール前では凄みのあるストライド。「トップコンディションです。2歳時のようにテンションが高くならないし、皐月賞よりも大きくなってパワーアップした。息遣いも完璧。100%だとトレーナーに報告してきました」。2週連続で手綱を取ったルメールは満面に笑みを浮かべた。
「スタミナ十分だから2400メートルは絶対に大丈夫。大きなストライドなので東京コースも絶対いける。2歳時のあの凄い脚を使えます」。ヴィクトリアマイル、オークスとG1連勝中のルメールは慎重なトレーナーと対照的に自信を隠さない。「皐月賞のリベンジです。ダービーを勝ったら、先生(藤沢和師)も凄く喜んでくれますよね」
機は熟した。「健康で送り出せるのが何より。あとは馬に力があれば勝てる」。師は木貼り絵の前で再び穏やかに笑った。