菜七子 19年も「やること変わらない」、女性騎手恒久減量に冷静
2019年1月1日 05:30 さらなる飛躍への期待が膨らむ藤田菜七子のニューイヤー。16年のデビューから着実に勝ち星を増やしてきた中で、3月からは女性騎手の負担重量恒久2キロ減がスタートする。菜七子は「私自身は決められたルールの中で乗るだけ。周りの見る目が変わってきて減量はプレッシャーにもなると思うけど、やることは変わらないので」と冷静に意気込みを語った。
デビューした16年から6→14→27勝と、年を重ねるごとに勝利数はほぼ倍増。地道なトレーニングに加え、多くの地方遠征による豊富な実戦経験が、騎乗フォームの安定につながっている。「どう成長したかは自分ではよく分からない。でも最近は周りの人に“フォームが良くなった”と言ってもらえることが増えた。それが凄くうれしい。1年目の自分の映像はあまり見たくないですね」と、苦笑いを浮かべた。
18年8月25日には増沢(旧姓牧原)由貴子を抜き、女性騎手通算最多勝利(35勝)の新記録をつくった。「女性騎手」という枠組みで捉えられるのを嫌う菜七子にとっては通過点でしかないが、改めて気付いたことがあったという。「新記録は、それほど大きなプレッシャーではなくて正直あまり気にしていなかったんです。でも、周りの人に“あと何勝だね”と声をかけていただいて、私はたくさんの人に応援してもらっているんだなって気付きました。多くの人に支えていただいていると感じる年でした」
8月19日の新潟では初の一日2勝。すると9月15日の中山、11月11日の福島でもマーク。固め打ちができるようになった。10月21日の北陸Sを勝ち、2度目のメイン勝ち。女性騎手というくくりなど必要なく、すでに「乗れる若手騎手」の一人として見るべき成績だ。
一騎手として成長するために海外での騎乗も考えるようになった。昨年、同じ根本厩舎所属の野中がアイルランドでの海外修業を終えて帰国。菜七子も「まだ具体的なことは全くないですが、先輩のジョッキーからも海外の話は聞いたりする。どの国でもそこの良さがあると思うので、興味があります」と前向きに捉えている。色紙に記した19年の抱負は「一鞍一鞍を全力で頑張ります」。これは18年年始の書き初めと同じ内容。大事なところは変えない。それが菜七子の強さでもある。今年も菜七子が中央競馬を盛り上げる。
◆藤田 菜七子(ふじた・ななこ)1997年(平9)8月9日生まれ、茨城県守谷市出身の21歳。16年3月5日、美浦・根本厩舎からJRAで16年ぶりの女性騎手としてデビュー。同年4月10日の福島9Rサニーデイズで初勝利(51戦目)。JRA通算1281戦47勝。空手初段、剣道二段。趣味は寝ること、読書。愛読書は伊坂幸太郎氏の「マリアビートル」。好きな食べ物は肉、スイーツ。好きな歌手はOne Direction(ワン・ダイレクション)。好きな俳優は三浦春馬。1メートル57、45キロ。血液型A。