国内重賞初挑戦でVマスターフェンサー 大事に育てて大成

2020年7月24日 05:30

ベルモントSにも挑戦したマスターフェンサー(左)(撮影・平松さとし)

 【競馬人生劇場・平松さとし】今月21日、盛岡で行われたマーキュリーカップはマスターフェンサー(牡4歳、栗東・角田晃一厩舎)が優勝した。

 同馬は昨年、米国へ遠征。ケンタッキーダービー(G1)に挑戦すると末脚を伸ばし6着。その後、挑んだ米国3冠ラストのベルモントS(G1)では現地でも注目される存在となった。

 結果は残念ながら5着に終わるのだが、米国のクラシックレースで脚光を浴びる存在になれたのは決して偶然ではなかった。まず、育成牧場を経営する吉沢克己オーナーは、その牧場でのゲート練習時にはポニーをつけて行うという。将来の海外遠征を見据えての馬づくりをしているというわけだ。

 また、現地入り後は角田調教師とスタッフが次々とカードを切った。ケンタッキーダービーの行われるチャーチルダウンズ競馬場の幅員が狭いという情報を事前に仕入れると、ダービー後は近隣のキーンランド競馬場へ移動。しばらくそちらで調教を課した。

 ベルモントSの行われるベルモントパーク競馬場へ移動後は装鞍所やパドックを一度のみならず幾度もスクーリング。朝の調教も何度か見させていただいたが、レースで使用するのとは別のメンコ(耳覆い)を装着していた。しかし、追い切りの日だけは競馬の時と同じものを着けていた。当方の勝手な推測だが、こうすることによって調教でも競馬でも気合を乗せたかったのだろうし、実際にそうなったと思えたものだ。

 今年は3月にドバイへ遠征しながら開催そのものがコロナ禍で中止となったため、レースに使えずに帰国した。その後は東京競馬場のオープン特別を2戦連続で2着。そして、今回のマーキュリーカップを優勝してみせた。マスターフェンサーにとってはこれが重賞初制覇なのだが、それも当然で、米国のクラシックに走った同馬ではあるが、実は国内で重賞を走るのはこれが初めて。陣営がそれだけ大事に使ってきたからこその大成だったと言えるだろう。(フリーライター)

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