【スプリンターズS】メイショウグロッケ超大穴警報 充実ムードの6歳牝馬が1200mで覚醒

2020年9月30日 05:30

坂路を駆け上がったメイショウグロッケ(撮影・亀井 直樹)

 この秋G1から新企画「G1テーマパーク」がスタート! 出走メンバーをテーマ別に分析して狙い馬をフォーカス。第54回スプリンターズSは“大穴”がメインテーマだ。“台風の目”は初1200メートルのセントウルSで2着に急襲してファンの度肝を抜いたメイショウグロッケ(牝6=荒川)。前走勝ち馬を追い詰めた末脚は本物!!

 大穴のテーマはこれ!今年最大の衝撃。スプリンターズSの前哨戦セントウルSで2着に食い込んだメイショウグロッケのこと。不振を続けていた馬の変わり身だけなら驚くに値しない。舌を巻いた理由は、それが初めて走る1200メートルだったからだ。

 絶好のスタートから中団ポジション。直線は外から諦めない闘争心をむき出しにしてグイグイ前を追う。最後は先行する昨年の高松宮記念覇者ミスターメロディまでのみ込んでしまった。

 手綱を取った浜中は得意げ。「以前乗った時より返し馬の雰囲気が良かった。ラストはいちばん伸びていたし、決してフロックとは思わない」と興奮気味に振り返った。

 驚いたのは9戦ぶりに手綱を取った浜中だけじゃない。関係者にもうれしい“不意打ち”だった。担当する阿久井助手が「やっている人間がいちばんびっくりしたわ。まさかあんな脚を隠していたとはねえ」と笑った。

 セントウルS出走に踏み切ったのは、同週に行われる芝マイルの京成杯AHに賞金的に使えなかったため。まさしく災い転じて…だ。しかしマンハッタンカフェの肌に父メイショウサムソン。春の天皇賞馬同士の配合でスプリント適性は誰も予想しえないこと。血統的にも目からウロコの大駆けだった――が、激走の“予兆”を阿久井助手は感じていたと言う。

 「使う週の追い切りのあと、馬がへこまなかった。いつも追い切りのあとはへこむんだけど、逆にもう1段上がるのが分かった。土曜の朝に、“これはイケるんじゃないか?”と。それでも千二であんな爆発的な脚が使えるとは…」

 毎日愛馬の感触を確かめている調教助手が直前に感じた“違和感”。これこそ6歳秋を迎えた牝馬の充実ではないか。

 スプリンターズSを制した6歳牝馬と言えば15年のストレイトガール。春のヴィクトリアMと同年にG12勝。さらに翌年ヴィクトリアMで連覇。円熟期を迎えた牝馬は底知れない。

 「グロッケ」とはドイツ語で「鐘」。モズスーパーフレアとグランアレグリアの一騎打ち!? そんな安易な予想に“警鐘を鳴らす”のが彼女だ。 

 【千二経験浅いG1ホース】スプリント路線には時折、芝1200メートル経験が浅いチャンピオンが登場する。00年以降、芝1200メートルの経験が3戦目以内で同G1を制した馬は6頭。ダート短距離や1400メートル路線から参入した馬には驚きが少ないが、血統的にクラシックや中距離を使っていたキングヘイロー、スズカフェニックスは“まさか”の開花。キングヘイローは父ダンシングブレーヴ、スズカフェニックスは母父フェアリーキング(サドラーズウェルズの全弟)といずれも欧州の重厚な血を持つ。メイショウグロッケは父メイショウサムソン(その父オペラハウス、祖父サドラーズウェルズ)だ。欧州血統を持つ馬はスタミナに優れる。芝1200メートルへの短縮で、追いっぱなしでもバテない強みが生きる形だ。

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