【天皇賞・秋】ダノンプレミアム95点!わずかに浮いた左後肢の蹄は好調時の“サイン”

2020年10月27日 05:30

<天皇賞・秋>左後肢の蹄の後部が地面から浮いたダノンプレミアム

 盾決戦をリードする四天王だ。鈴木康弘元調教師(76)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第162回天皇賞・秋(11月1日、東京)では史上初の芝G1・8勝を目指すアーモンドアイ、ダノンプレミアム、キセキ、クロノジェネシスの4頭をトップ指名した。中でも達眼が捉えたのはダノンプレミアムの蹄を浮かした立ち姿。13着に大敗した安田記念から一転、好調時の癖を見せた。

 無くて七癖といいます。一見、癖のなさそうな人でも、細かく観察すれば何らかの癖が見つかるとの意味。このことわざは馬にもそのまま当てはまります。ダノンプレミアムの立ち姿を細かく観察すれば…。左後肢の蹄の後部が地面からわずかに浮いています。前肢に体重をかけて後肢を流しているせいです。人に置き換えれば、カカトを浮かせて車のブレーキペダルを踏むような格好。決して褒められた立ち方ではない。だが、過去の立ち馬写真を見直してみると…。

 ゴールまで集中していた昨秋の天皇賞(2着)時も全く同じポーズで立っていました。反対に気持ちが途切れた前走・安田記念(13着)時は蹄を浮かさず着地していた。こんな立ち方の違いを確認しているうちに思い出したのが14年皐月賞馬イスラボニータ。当時の馬体診断でも指摘しましたが、気持ちが入ると左後肢蹄の後部を少しだけ浮かせたものです。前肢に体重をかけて後肢の蹄を浮かすダノンプレミアムのポーズも好調時に見せる癖なのか。

 そんな推測を裏付けるような充実した姿です。尾を自然に流しながらハミをゆったりと受けている。落ち着き払ったたたずまいです。首が太いマイラー体形とはいえ、これだけ穏やかなら2000メートルもこなせます。ディープインパクト産駒らしからぬ筋肉豊富な体つき。肋(あばら)がパラッと見える腹周り。休み明けでも仕上がっています。黒光りする毛ヅヤ。体調も良好です。無くて七癖。8冠を目指すアーモンドアイも警戒すべきくせ者です。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の76歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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