【有馬記念】空前の牝馬イヤー ラッキーライラックが締める!圧倒的3歳有利も古馬は5歳が強し

2020年12月22日 05:30

<有馬記念>競走生活の最後になって一番美しい立ち姿を見せてくれたラッキーライラック

 「G1データMAX」は過去10年の傾向を中心にレースの“焦点”を綿密に分析。古馬G1戦線は牝馬が席巻した2020年。1位指名は今年G1・2勝のあの馬。オーラスもやっぱり牝馬が強い!?

 (1)年齢 圧倒的に3歳有利。過去10年で26頭が参戦し5勝2着2回。勝率、連対率共に他の世代を圧倒する。表記上は3歳だが残り数日で明け4歳となる状況。古馬との実力差がほとんどない中で、年長牡馬より2キロ軽いのは大きなアドバンテージだ。

 ただ、実力が伴っていなければ話にならない。3着以内の10頭中5頭がその年の菊花賞馬。残る5頭中2頭が皐月賞を制していた。18年Vブラストワンピースは菊花賞1番人気4着。14年2着トゥザワールドは菊花賞16着から巻き返したが、この馬も春に皐月賞2着、ダービー5着とクラシックで好走していた。クラシックでの好走歴は必須条件。今年はオーソリティ、バビットの2頭が参戦するが、両馬共クラシック実績がなくパンチ不足。

 古馬に目を向ければ5歳が4勝。対して4歳は1勝2着6回と善戦止まりのケースが目立つ。5歳で3着以内の10頭中9頭がG1馬。唯一、G1未勝利だった13年2着ウインバリアシオンもダービー、菊花賞2着の実績があった。今年の5歳勢もG1馬が3頭と層が厚いが、ユーキャンスマイルはG1最高着順が菊花賞3着で一歩後退。6歳以上は連対歴がなく“消し”でいい。

 (2)牝馬 今年行われた牡牝混合の古馬芝G1は牝馬が9戦8勝。「牝馬の時代」と言われて久しいが有馬記念に限ればそうとは言い難い。過去10年で2勝2着2回止まり。同期間のジャパンC6勝と比較しても牝馬は苦戦傾向だ。近年はジャパンCや天皇賞を秋の最大目標に設定するケースが多く、シーズン最終盤のグランプリに照準を定める陣営は少ない。牝馬は牡馬に比べて体調維持が難しい点が要因。加えて中山には牝馬限定のG1、G2がなく、コース経験に乏しい馬が多いことも理由の一つだ。年齢別では連対4頭中3頭が5歳馬。牝馬に限っても4歳は劣勢だ。G1で好走してきたクロノジェネシス、カレンブーケドールは上位人気が確実視されるが「4歳の壁」を破れるか。

 14年Vジェンティルドンナは出走時点でG1・6勝、19年Vリスグラシューは同3勝、10年2着ブエナビスタは同5勝。17年に8番人気で2着に食い込んだクイーンズリングも前年のエリザベス女王杯V。牝馬で好走する馬は相当なポテンシャルを要求される。

(3)ファン投票 有馬記念ならではの傾向としてファン投票の順位も重要なファクター。過去64回でファン投票1位は15勝で最多。2位が13勝で続き、上位2頭で28勝と半数近くを占めている。ファンの支持は実力の証明だ。これに続くのが4位馬の7勝。今年は1位クロノジェネシス、2位ラッキーライラック、4位フィエールマンと上位をサンデーレーシング所有のG1ホースが占めた。

 ≪結論≫ファン投票2位で選出された5歳牝馬ラッキーライラックを推す。優勢の3歳は今年に限っては実績不足。4歳は2着までの傾向に従えば、中心視したいのは5歳だ。フィエールマンもV候補だが、天皇賞・秋からの直行組は過去10年で【0・2・0・12】。ベストとは言えない臨戦過程で割り引いた。

 (2)の項目で分析したように牝馬は劣勢だが、G1を複数回勝つような馬なら話は別。ラッキーライラックは牡馬相手の大阪杯を含め、ここまでG1・4勝。過去に好走した牝馬と比べても遜色ない実績。中山も白星こそないが19、20年とG2中山記念で連続2着。コース適性も高い。父は11、13年に隔年Vを飾ったオルフェーヴル。父子制覇が懸かる血統も魅力だ。これがラストラン。振り返れば過去の5歳牝馬Vは71年トウメイ、14年ジェンティルドンナ、19年リスグラシューと全て引退戦だった。

 相手はフィエールマンに加え、2着候補としては外せないクロノジェネシス、カレンブーケドール。リピーターが多い傾向から昨年3着ワールドプレミア。不利な要素を度外視して3歳オーソリティ、バビットを押さえれば盤石だ。(データ班)

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