【NHKマイルC】グレナディアガーズ95点 王座守る最強のトモ!

2021年5月4日 05:30

トモのつくりが相変わらず凄いグレナディアガーズ

 混戦を断つ2強ボディーだ。鈴木康弘元調教師(77)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。「第26回NHKマイルC」(9日、東京)ではグレナディアガーズとルークズネストをトップ指名した。なかでも達眼が捉えたのは体重よりも大きく見せるグレナディアガーズの非凡な馬体。昨年の朝日杯FSに続くG1獲りが見えてきた。

 一流馬はしばしば実際の体重以上に体を大きく見せます。最近ではダービー優勝時のコントレイルやレイデオロ。15年秋華賞で牝馬2冠に輝いたミッキークイーンも体重以上だと当時の馬体診断で言及しました。現3歳世代ではグレナディアガーズです。昨年の朝日杯FS時は未勝利戦を勝ち上がったばかりとあって人気薄(7番人気)でしたが、その体つきは非凡。当時の馬体診断でこんなコメントを残しました。「460キロ前後の体重の割に筋肉量が非常に多い。500キロの体に見えるほどです。特にトモの筋肉は岩のようにせり上がっています」

 コントレイルは竹のようにしなやかな筋肉が、レイデオロは峰のように突出したキ甲(首と背の間のふくらみ)が、ミッキークイーンは羽毛布団のようにふっくらした腹周りが体を大きく見せた。グレナディアガーズを実際の体重より40キロも大きく見せたのは岩のようなトモ。朝日杯FSでは車のエンジン部に相当するトモのパワーを立派な飛節が推進力に換えてG1制覇を遂げたのでした。

 あれから4カ月。トモのつくりは相変わらず凄い。2歳時には物足りなかったヒ腹の張りも増して、余裕が出てきた。体つきは着実に成長していますが、もっと変わったのが顔つきです。目力が強くなり、耳を鋭く立てながら鼻の穴をしっかり開いている。若駒らしい優しい顔から競走馬の精かんな顔へ。立ち姿も良くなった。朝日杯時は英国バッキンガム宮殿の前に立つ近衛歩兵連隊(グレナディアガーズ)のように肩に力を入れてましたが、今回は力みが取れている。引き手がたるむぐらいゆったりとハミを受け、穏やかに立ってます。

 英王室を警護するグレナディアガーズといえば深紅の制服とモコモコした大きな黒い帽子が特徴。高さ45センチもある帽子をかぶるのは体を大きく見せ、世界一流を誇示するためだったとか。競走馬のグレナディアガーズが馬体を大きく見せるのも一流の証明です。 (NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の77歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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