【マイルCS】グランアレグリア 得意舞台で有終連覇へ!中2週不安なし万全リハ
2021年11月18日 05:30 最強女王が有終の美を飾る。秋の最強マイラー決定戦「第38回マイルCS」の追い切りが17日、東西トレセンで行われた。レース連覇を狙うG1・5勝馬グランアレグリアは、美浦Wコースで軽快に動いて万全の状態をアピール。所有するサンデーレーシングはこの日、この一戦限りでの現役引退を正式発表した。来年2月で引退する藤沢和雄師(70)は、歴代最多更新となる同レース6勝目に挑む。なお、同レースは18日に出走馬が確定する。
「人間が何もしなくても、勝手に走る馬なんだ」
デビュー当初から、藤沢和師がそう評してきたグランアレグリア。まさにその言葉を体現する最終追いだった。重賞ウイナーのレイエンダを7馬身先行させたが、加速の違いは明らか。向正面で一気に差を詰め、直線を待たずして並びかける。コーナーを回り終えると2馬身前へ。直線も鞍上・杉原(レースはルメール)はノーアクションで、リードを保ってゴール。まるで最後の追い切りを楽しむかのような、優雅な走りだった。
全体時計6F80秒3は前走の天皇賞・秋時(80秒0)に匹敵。好時計を余裕で叩き出す姿に、藤沢和師は満足顔だ。「この馬にとってはキャンターくらいのストライドで流す程度。力むことなく走れていた。いい感じに仕上がった」。2着に敗れた春の安田記念と同じ中2週。状態を懸念する声もあるが、指揮官は前回との違いを強調した。「安田記念は中間に爪の不安が出て2日ほど楽をさせた。その分、調整がいくらか遅れてしまった。今回はそういう不安がなく安心して調教できた」。安田記念の最終追いは坂路だったが、今回はより負荷の掛かるコース追い。この選択もコンディションの良さを物語っている。
3階級制覇を狙った天皇賞・秋は3着。師は「頑張ったが、やはり最後は距離の壁」と振り返る。さらに距離が延びるジャパンC、環境が激変する香港遠征は見送り、昨年快勝の舞台をラストランに選んだ。「マイルは2歳から上手に走っている距離。阪神も得意(3勝)だし、昨年勝ったレースで何とか頑張ってほしい」と願う。
来年2月で70歳定年を迎える藤沢和師にとっても、残り少ないG1制覇のチャンス。「私には来年がないから馬にもスタッフにも“頑張れ”と伝えている。若い素晴らしい馬(シュネルマイスター)が出てくるが、今回だけは“勝たせてくれ”とお願いしておく。私はなまけ者だから、早く終わって楽になりたいよ」。最後は取材の輪に笑いが絶えない、藤沢和流のジョークで締めくくった。連覇へ、有終の美へ。秘めた闘志は笑顔のオブラートに包み、決戦の地・仁川へと向かう。
【連覇過去に5頭】マイルCSを連覇した馬は過去に5頭。藤沢和師は97、98年にタイキシャトルで連覇を飾っており、グランアレグリアが勝てば管理馬2頭目の連覇達成となる。また、同師は歴代最多となるマイルCS5勝。93年シンコウラブリイは開業6年目でG1初制覇。レジェンドにとっての“原点”ともいえるタイトルで記録更新なるか。